レインボー・シャワー ~ MONTANE/ Prism Vest & Glacier Vest

この数年ですっかり市民権を得たインナーダウン。
もともと、薄く、軽く、暖かく、コンパクトになる、と甚だ実用的であるため
モンベルのULシリーズなどがファッション関係者の一部で注目されていましたが、
帝王ユニクロまで参戦したことで忽ち着用が当たり前の景色になりました。

ダウン自体もモンクレーやカナダグースを例に挙げるまでもなく
目下人気のアイテムで、今アパレルで最も売れるものとまで云われています。

ところが当店、ダウンは一切取り扱っておりません。

その圧倒的な機能性についてまったく否定はしませんが、
現在の流通量を見てガチョウやアヒルから食肉の副産物としてのみ採取された羽毛や
巣から拝借した羽毛ばかりとは到底考え難いという状況はどうしても見過ごせず。
また生きたまま手で毟り取る方法(現在欧州では規制されているとは聞きますが、
一方で高品質なダウンの採取には最適なやり方とも)は
身に着けるものに纏わるにしては少々刺激的に過ぎる絵面ではと思います。

実際のところ食肉用として屠殺されたガチョウなどを
無駄にせず有効利用しているものも少なくはないでしょう。
とかく人道的な見地で物言いを始めればきりがなく、
畢竟我々の生活が他の生物の累々たる犠牲の上に成り立っているという冷徹な事実は
ダウンをどうこうしたところで到底覆せるようなものではありません。

ただこの時代、ダウンに匹敵する化学繊維がある以上、
どうしてもダウンでなければならない切実な理由は見当たりませんし、
選択肢としてそれを提案していきたいと考えているわけです。

さて今回ご紹介のヴェストはそんな化繊中綿を用いた逸品です。


英国北東部アッシントン発のMONTANE(モンテイン)は登山家、探検家の
ハードな要求に応え続ける生粋のアウトドアブランドです。
イギリスの山岳救助隊のオフィシャルサプライヤーも務めています。

また様々なレースを主催しており、その中でYukon Arctic Ultraという
カナダ極北ユーコンで厳冬期に行われる耐久レースは世界で最も過酷とまで称され、
マーキングもされていない凍てつく氷原を食料等を積んだソリを曳きつつ人力のみで700km、
且つ13日以内に走破する、という狂気じみた大会のようです。

そんなレースを主催するほどのスパルタンなブランドですから性能は言わずもがな。
勿論ここはユーコンでなく仲町台ですから、
技術力の美味しいところを日常使いでいただきたいと思っています。

中綿として使用されるプリマロフトはもともとアメリカの会社が米軍の要請を受けて開発し、
米国陸軍・海軍の寒冷地用防寒着に採用されていました。
軽量性、撥水性(濡れてペチャンコになると保温性を失うので重要です)、
柔軟性、通気性、収納性に優れた素材です。

同量ならばダウンの数倍と云われる保温性を備えているため、
薄く仕込むだけでも充分な防寒性を発揮することが可能で、
このヴェストも見た目は心許ないかも知れませんが、着用すれば納得の暖かさ。

そもそも店主がこれを愛用していることがモンテイン取扱いのきっかけでした。
ここ数年、秋冬はもう手放せません。
まさに丁度この駄文をしたためている今も着ています。

ケアも容易で、家庭で洗濯することが可能です。
洗剤にNIKWAX等を使用すれば撥水性もより維持できることでしょう。

右のポケットを裏返してこの中にヴェスト本体を納めればコンパクトにまとまります。
持ち運びに便利なだけでなく、簡易枕としても使えそうです。

顎の当たる部分には柔らかなフリースを配してジップが当たらないようにするなど、
細やかな気配りが効いたつくりも嬉しいところですね。

また、このブランドの特徴でもある落ち着いた色目と細身の形状は
マッチョさやスポーティーさに寄らず、都市生活にも違和感なく溶け込みます。

男性用はPrism Vest、女性用はGlacier Vestと分けられていますが
シルエット、色遣い以外の相違点としてGlacierにはストレッチ性のマットな素材が使用され、
強度より運動性を重視したつくりとなっています。
また、キルティング処理がPrismは表側、Glacierは裏側に施されているため
Glacierの方がすっきりした見た目です。

百聞は一見に如かず、是非実物をご覧いただき、その実力の程をお確かめください。

オンラインストアはこちら→
Prism Vest ブラック/ モロカンブルー
Glacier Vet ブラック/ モロカンブルー


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