そんなぼくの 生活の柄が ~ written by/ KIRIE MILITARY COAT

先月末のイラン急襲は、世界の分断をさらに大きく深く拡げる愚行でした。

主犯の2国はもとより、その後の我が国の立ち回りときたら目を覆うばかりで、中野好夫の「もはや戦後ではない」が別の意味に変わりつつあります。

かつて、吉田健一はこう云いました。

戦争に反対するもつとも有効な方法が、過去の戦争のひどさを強調し、二度とふたたび……と宣伝することであるとはどうしても思えない。戦災を受けた場所も、やはり人間がこれからも住む所であり、その場所も、そこに住む人たちも、見せ物ではない。古きずは消えなければならないのである。
戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。過去にいつまでもこだわつてみたところで、だれも救われるものではない。長崎の町は、そう語つている感じがするのである。
(『長崎』)

この文章からだいぶ時代が進み、「復興」の段階はとうに過ぎ、そして戦争の体験を語る人たちの多くは世を去ってしまいました。
気がつけば、お上から民草まで、軍備増強や戦争を煽る言説が当たり前のように幅を利かせる世の中になっています。

ひょっとしたら、もう生活を美しくして執着するだけではどうにもならない段階まで来ているのかも知れません。

だからこそ、いまはこの言葉をそのまま金科玉条として受け取るのではなく、戦争の「古きず」をあらためて直視すべきなのでしょう。

が、「古きず」を直視することと、生活を美しくして執着することは、二者択一ではなく、両立し得るもの。


そんな日々の生活に目を向けさせるコートです。

運動性や純粋に合理的な部分は要素として採り入れながらも

戦闘用のディテールなど武骨さを排除したやわらかなデザイン、

ユーモラスなほどに大きなファスナーなど、服の形そのものは先月、ANTI-WARの戦闘服としてご紹介したミリタリーコートとまったく同じ。

しかし生地が変われば雰囲気も変わります。

この生地の最大の特徴は言うまでもなく柄ですが、いったい何柄なのか、強いて言うならば「生活の柄」でしょうか。

written byの重要なモティーフである「本」、

そして日々の生活のなかで出される「ゴミ」、それをつつく「鴉」まで描かれています。

「ゴミ…?」と驚かれる方も多いでしょうし、当然の反応ですが、ゴミはそれ自体が悪しき存在ではなく、我々が生活していると必ず生まれるもの。
すなわち、生活と不可分というわけです。

ゴミをゴミとして邪険にするのではなく、新たな視座から見つめることで、自分自身の生活に向き合える、written byならではの発想です。

日常の生活だって必ずしも愉しいことばかりではなく、いろいろなアクシデントが起きるものですし、起きなければそれはそれで退屈だったりするかも知れませんが、そんな日常の生活の尊さを、失ってから嘆くわけにはいきません。

青臭くとも不格好な形でも、我々の生活を奪う存在には抗っていきましょう。

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ことしのぼたんは よいぼたん ~ Ithe/ No.67-3-IO

店主、ここ1~2年でいちばん袖を通した服は何だろう、と考えると、ItheのNo.67-IO、通称“イザコート”ではなかろうかと思います。

洗練された佇まい、洗濯機で洗えるうえ数時間で乾くという機能性、そして秋から冬、春にかけてミッドレイヤーを調節することで長い期間着られる絶妙な保温性。
日常、展示会、そして出張と、幅広い場面で八面六臂の大活躍です。

そういえば昨年の『はたちメシ』でも、雨の母校のキャンパスで着ていました。
この日は雨が降っていただけでなくずいぶんと肌寒くて、このコートが重宝したんですよね。

「世の中なめきっていた」頃の〝はたちメシ〟バイト代が入ったら…二十歳の頃に食べていた「思い出の味」とともに、当時を振り返ると… (withnews)

そんな傑作ですが、実はレギュラー的に展開されてはおらず、基本的には受注会でのオーダー対応品として提案されていたため、実物をご覧になったことのない方も多いのではないでしょうか。

というわけで、わずかに残っていた生地を使い、再度作ってもらうことにしました。

せっかくなので、ちょっとしたアレンジを加えた別注モデルとして。



このイザコート、1960年代のトレンチコートを原型とし、現代の都市生活に於いて不要である意匠を削ぎ落してミニマルにデザインされています。
そのため、(洗濯でのボタン破損リスクも考慮して)通常のボタンではなく、スナップボタンを採用していました。

店主私物をご参照ください。

開閉の楽さもあって、一ユーザーとしても気に入っている仕様ではあるのですが、このスナップボタンがダブルブレストのコートに配置されている構造上、両脇のポケットがどうしても小さくなってしまいます。

ならば、いっそ通常のボタンにしてしまおう、というのが今回の別注のポイントです。

生地のとろんとした柔らかさゆえに力ボタンが必要で、結局ボタンのつけ糸がポケットを貫通することにはなってしまったのですが、それでも内袋自体が大きくなったことで、収容力がアップしました。
また、この貫通しているつけ糸が大きくなった内袋をコート本体に固定し、内袋の自重で垂れ下がることを防止する役割も果たしています。

さらに、このボタンにすることにより、服の雰囲気からギア感が薄れ、オンオフ問わず対応できるようになりました。
もともと抜群の汎用性を備えていましたが、もう何が合わないのか探すほうが難しいくらいです。

この汎用性について、あらためてコートを見ていきましょう。

先述の通りトレンチコートを限定としながら、エポレットやガンフラップ、Dリングといった武骨なミリタリー要素は徹底して排除されています。

もうトレンチコートとは呼べないほど、大胆に。

くわえて、シルエットもふっくらしたAラインへ変更し、印象をさらに和らげました。

こうしたアレンジが、ジャンルやカテゴリーを超越した普遍性を帯びた一着へ導いています。

生地に関しても特筆せねばなりません。

石川県のテキスタイルブランドNOTO QUALITYのポリエステルファブリックを採用。

洗濯が可能でかつ速乾というのはすでに触れましたが、時間経過や使用から発生する機能の消耗劣化にめっぽう強い、長寿命の生地でもあります。
自然なシボ感が化繊特有の冷たさを抑えながら、皺がつきにくく、とにかく扱いが楽です。

どうしても洗濯やケアの懸念がちらつきやすいコートには、願ったり叶ったりの生地ですね。

こうした要素が掛け合わさり、都市生活のためのデザインと機能性、どちらもきわめて高いレベルで両立したコートが完成しました。

残念ながら今回も限られた数量しかご用意できませんでしたので、気になる方はどうぞお早めに。

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時の流れに身をまかせ あなたの色に染められ ~ MANUFACTURE BONTEMPS/ MBF102

そのブーツが当店に初めて届いたのは、昨年の秋のことでした。

気品とタフネスを兼ね備えたその独特のスタイルは不思議な魅力を放ち、店主もさっそく自分用に入れた一足を履き込んでみたのですが、想像以上の履き心地のよさ、そして頑強さに日々感動するばかり。
雨の日も雪の日も、悪路もズンズン踏破できる、頼もしい相棒です。

そういえば、大阪出張の帰りに疲労困憊ながら新横浜から仲町台まで歩けたのも、このブーツのお陰と言っていいかも知れません。

いまではすっかり足の一部となりました。

店頭在庫、つまり新品と並べてみると、面構えの変化をご理解いただけることでしょう。

そんなBONTEMPSの靴のラインナップは、もちろんブーツだけではありません。

この春は、プレーントウのダービーシューズをご紹介します。

黒いプレーントウ、と記号だけ抜き取ればごく中庸な、クセのない、あるいはドレッシーなものを聯想してしまうところ、いえなかなか独自性の強い一足です。

アッパーには、華奢な革ではなく、アルザス地方のタンナーから調達したフルグレインのオイルドカーフレザーを採用。

新品の状態で見ると素っ気ない印象ですが、履き込んでいくと大化けします。
先述のブーツをご覧いただければご想像も容易ではないでしょうか。

油分の多さは耐水性のみならず、足馴染みのよさにもプラスに働きます。
この革、硬そうに見えて、実はなかなか柔らかいんですよ。

荒天、悪路への強さは革のみで為すものに非ず。
ガセット上のタンは、隙間からの浸水を防ぎます。

また、足の薄い人はとくにお悩みかと思いますが、履いていくうちにタンが脇にずれていってしまうあの不快な現象からも、このタンの形状によって解放されます。

天然ゴムを独自に配合した混合素材を用いて成型されたALPEX2000ラグソール。

日本国内での知名度は低いものの、グリップ性能、衝撃吸収性、耐摩耗性は、ひじょうに高いレベルにあります。
フランス本国ではレンジャー部隊のブーツでも使われている、というのも納得ですね。

このソールをブーツ本体と組み合わせるにあたり採用されたのが、ダブルサンダレット製法です。

一見すると二周縫いのステッチダウンのようですが別の製法でして、まず外周内側のステッチでアッパーとレザーのインソールを中敷ごと縫い合わせます。

その後外側のステッチで先のアッパー+インソールにラバーのミッドソールを縫合し、このミッドソールとラグソールを接着。
ソール交換の際は縫い糸を切らずミッドソールからラグソールを剥がすだけですので、アッパーやインソールにあまり負荷がかかりません。

一般的にこうした靴によく用いられるグッドイヤー製法やノルウェージャン製法にくらべ、とても軽く柔らかい靴になるのも特徴です。
足馴染みのよさは、革の特性だけでなく、こうした製法も寄与しています。

「良い時間」を意味するブランド名の通り、この靴もきっと良い時間を過ごさせてくれるはずです。

肩肘張らないデザインですから、日常生活の頼れるお伴として、気兼ねなくどんどん履いてあげてください。

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仲町台に帰ってきました ~ 出張ユーフォニカ横須賀篇レポート

県内であり市外、近くて遠い隣街・横須賀から帰ってまいりました。

今回は事前に宿泊する必要がない距離のため、当日朝に横須賀入りして会場設営を行ったのですが…

たいへんお恥ずかしいことに、なんとこの商品搬入の段階で、店主いきなりギックリ腰をやらかしまして。

設営作業のほとんどをSolticeオーナーの臼田さんにお願いせざるを得ず、身も心も痛い状態でのスタートとなってしまいました。

怪我の功名と言っていいのか、結果素晴らしいレイアウトに。

以前の展示で使用した針金も活用し、いままでの出張ユーフォニカとはまた違う雰囲気が生まれました。

今回の会場は建物の2階に位置し、フラワーショップMaree Chanterさんと、古着とオーナー自身の手による服を提案するatelier FAMさんの間を抜けた先にある階段を登った場所ですので

つまりはある程度昇り降りの必要がございます。

開場の時点ではまだある程度動けてはいたものの、

途中からはもう立てず歩けず、痛みで口数も減るばかり。

窓越しに裏手の神社の階段を眺めるだけで腰が悲鳴を上げます。

そんなわけで、今回は撮影範囲が狭いレポートとなっています。トホホ。

そうは言っても、有難いことにお客様はご来場されますので、基本的には端っこで座りながら、あるいはバックヤードにあった木の棒を杖代わりに、ヨタヨタと服などを説明させていただきました。

皆様、さぞかし驚かれたことでしょう。

こうして初日は暮れていきました。

そんな冴えない初日ではありましたが、横須賀の方々のオープンなマインド、そして豊かなDIY精神には驚かされ、また元気づけられました。

会場周辺の狭い範囲のなかだけでも、インディーズ精神に溢れたクールなお店が軒を連ね、活発に交流しあい、「これぞ横須賀!」と言えるような新しい文化が芽吹きつつあるのを強く感じます。

この素晴らしい街のなかで腰がどうこうと泣き言を垂れ流して会期を終えるわけにはいきません。

帰宅後、ありとあらゆる手を尽くし、コンディション回復に努めます。

その効果が多少はあったのでしょう、2日目は比較的良好な状態で迎えることができました。

妻からトレッキングポールも借りて、端っこで座りっぱなしの謎のおじさんから脱却です。

「端っこの謎おじさん」の称号は、横須賀ルチャ・リブレ人形に押しつけます。

1階のatelier FAMさんのご厚意で、窓側のディスプレイ什器も使わせていただくことができ、これをご覧になって入場されるお客様もチラホラと。

有難い限りです。

2日目は初日よりご来場も多く、終始賑やか。

写真を獲るのを失念しましたが、差し入れでいただいた美味しい肉まんを、会場のみんなだけでなくたまたまお越しいただいたお客様と卓を囲んで食べたりと、アットホームな温かい時間のなかでワイワイと過ごすことができました。

そんな調子で、あっという間に閉幕。

毎度思うことですが、商品を片付けたあとのガランとした会場は、寂しいものです。

でもそれだけ愉しい時間だったということですね。

しかしそれは自分ひとりで作れるものではなくSolticeの臼田さん、Maree Chanterの橋本さん、atelier FAMの石井さん、関係者の方々、そしてご来場いただいたお客様方のお陰です。

ユーフォニカ横須賀店(仮)は腰痛を抱えていったん去りますが、今回ご来場くださった方もそうでない方も、横須賀に遊びに行かれた際はMaree Chanter、atelier FAMの両店に是非立ち寄ってみてください。

お二人とも人柄は言うに及ばず、お店のセンス、クオリティも抜群ですよ。

それでは、横須賀の素敵な皆さん、またお会いしましょう!

スペース・カウボーイ ~ K.ITO/ レーヨンナイロンジャージー ウェスタンシャツ&イージーパンツ

冬から春に季節が移りゆくこの時期、気温だけでなく気分もあってでしょう、シャツをご覧になるお客様が増えはじめます。

思いきり春っぽい色や柄は言うまでもなく、漆黒という選択も、それはそれで悪くないものです。


ここ数年で変わり種のシャツも評価の定まってきたK.ITO。

今季もまた、見れば見るほど滋味深い、通好みの逸品が届いています。

遠目で見れば「ああ、ウェスタンシャツね、なるほど」、と流してしまいそうになりますが、近づいてみると…

ちょっと不思議な質感の生地ですね。

そして実際に触れ、袖を通してみると、その軽さ、のびやかさに驚かれるはず。

実はこの生地、布帛でなくカットソー、つまり編地です。
レーヨンとナイロンをかけあわせ、シャリ感ととろみを両立しています。

この生地の特性に加え、K.ITOならではの立体的なパターンワークで、さらに運動性を高めました。

たとえばこの袖の付け根の大胆なプリーツをご覧ください。

大枠のデザインはポケットや

艶やかなスナップボタンなどでしっかりとウェスタンシャツの基本をふまえつつ、

肩幅、身幅にゆとりをもたせ、着丈をオーセンティックなタイプより短く設定することで(本式のウェスタンシャツは、乗馬時に裾が出ないよう着丈が長めに設計されます)、土臭さを排除し、リアリティのある街着としてのシャツへ転化させました。

ウェスタン調のデザインに慣れていない方でも、気軽に愉しめる一枚です。

くわえて、このシャツと同じ生地でパンツもご用意しています。


K.ITOの隠れた人気品番、イージーパンツ。

弊ブログやSNSではあまり登場しませんが、それはご紹介を前にすぐに店頭で巣立ってしまうから。
このパンツ、穿いた人だけに伝わる、強烈な魅力が秘められています。

ウェストサイズはたいへん大きく設計されており、ゴムが入っていません。
ドローストリングをぎゅっと絞って穿く構造です。

面白いことに、さらにベルトを使えるよう、ループも装備されています。

サイドシームのない筒状の構造で、着用時、ズドンと太い直線的プロポーションが立体的な円みを帯びます。

それでいてしなやかな生地ですから、横にボリュームが出すぎることもなく、身体の動きとともに軽やかなドレープを描いてくれます。

シャツにも使っているほど薄手ですので、春はもちろん真夏も含めて秋口まで大いに活躍することでしょう。

視覚以上に体感で春夏を感じられる、そんなシャツとパンツです。

オンラインストアはこちらです→ ウェスタンシャツ/ イージーパンツ

恋は言葉じゃなく 二人だけのstory ~ written by/ Bookmark series

読書の秋と云いますけれど、べつに読書は秋に限ったものではありません。
年中通して愉しめる娯楽です。

それにしても店主、齢47ともなると老眼が進む一方で、活字を追うこと自体覚束なくなってきました。
いまではちょっとした文庫本一冊を読むにも半月かかる有り様です。

そんなわけで、老婆心ながら、ヤング諸氏に於かれましては、なるべく若いうちに多くの本をお読みになるがよろしいかと思います。

さて、そんな読書の相棒といえば、栞ですね。

どんな書物でも一気呵成に読みきってしまうような超人でも無い限り、欠かせぬ必需品と言えます。
況や老眼の身に於いてをや、いやまあ老眼の話は脇に置いておきましょう。

機能だけ考えれば本や書店などでもらったおまけ的なものでもじゅうぶんですが、お気に入りの一枚を持つのも乙なものではないでしょうか。

今季のwritten byは、まさかの栞が豊富です。

まずは、上質なレザーに美麗なグラフィックが箔押しされたもの。

オランダで収集したヴィンテージの栞からインスピレーションを得て、「紙のテキスタイル」を展開するユニットRivotorto Piecesとのコラボレーションにより生まれました。

今季のコレクションキーワードである「本を収納できるポケット」と、written byのシンボルである「本」をコンセプトに、書物への愛情を形にしています。

お次は、だいぶ趣味性の強い、真鍮製。

縫いつけられたボタンや

手縫針の刺さったブランドタグなど、

手仕事への敬意を込めたディテールを取り入れ、高い技術で緻密に再現しました。

単品で見るとちょっと使い方に迷うかも知れませんね。

このように挿むと、ボタンが背表紙に重なります。

最後、こちらは栞そのものではありません。

栞型の、レザーブレスレットです。

先述した革製の栞と同じグラフィックがあしらわれていますが、サイズを変えて輪にするとだいぶ印象が変わりますね。

ギボシによってサイズ調節可能で、だいぶゆったりめに設計されているため、かなり手首の太い男性でもお使いいただけます。

いちおう栞状ではありますので、大きい本であれば実際に栞として活用してみても…そこは、どうぞご自由に。

どれも、もちろんご自身で使うもよし、春につきものの出会いや別れに伴う贈り物にするのもよいでしょう。

いつだって書店に行くのはワクワクするもの。
ときには、「この栞を使いたい」なんてモチベーションもまた、新たな本との出逢いのきっかけになるかも知れませんよ。

オンラインストアはこちらです→
LEATHER BOOKMARK/ BRASS BOOKMARK/ LEATHER BRACELET

イギリスからの手紙 ~ Kate Sheridan

暖かくなっては寒くなり、寒くなってはまた暖かくなり、カラリとした空気にも湿り気が戻ってきて、と漸う濃くなりゆく春の気配とともに、軽やかなバッグや小物がロンドンから届きました。

当店でははじめてのご紹介となります、Kate Sheridan(ケイト・シェリダン)。
同名デザイナーが2001年に立ち上げた、レザーグッズを中心とするブランドです。

大量生産、過剰消費、高速で移り変わる煽情的なトレンドが当たり前となった時代の潮流に背を向け、シーズンを超えて長く愛用でき、さらに世代を越えて受け継がれてゆくものを目指して活動を続けてきました。

多くの製品は自社工房にて少数の職人の手で、あるいは関係性の深い近隣の小規模な提携工場で、ひとつひとつ丁寧につくられています。

英国製だから良い、という単純な話にはなりませんが、日本製品に日本製ならではの特長が認められるように、英国だからこそできるものづくりにも独特の魅力があります。

くわえて、丈夫で機能的、というだけでなく、デザインがとても上品で柔和、どれもとても優しい表情をしているのも、Kate Sheidanの特徴として挙げられます。

デザイナーのケイトさん自身もとても朗らかな人柄で、彼女のパーソナリティが製品に反映されているのを感じますね。

さて、そんなKate Sheridan、バッグ、小物あわせて5型が入荷しています。

せっかくですから、一気にご紹介してしまいましょう。

まずは、このブランドの代表的モデル、Orbed Tab Bag。

 

後述する商品にも共通していますが、イタリアでベジタブルタンニン鞣しを施された、ソフトな牛革を使用しています。

使い込むほどに深い艶を湛え、しっとりと手に馴染んでいく革です。

裏地のないシンプルなつくりでありながらも、豊かな肉感を備えている革ゆえ、一枚だけでもふっくらとしたボリューム感を実現しています。

フラップはマグネットでしっかりと留まり、

それでいて品名にもなっているタブによって開閉が容易となりました。

ショルダーストラップはバックルで長さの調節が可能、ワンショルダーにも斜めがけにも対応します。

比較的小ぶりなサイズ感ですので、装いを軽くしたいときや品よくまとめたいときなどに重宝するはずです。

このOrbed Tab Bagをさらにコンパクトにしたのが、Half Orbed Tab Bag。

ストラップを除けば基本的な構造は前述のOrbed Tab Bagと概ね同様で、

スマホや小さな財布、鍵程度しか持ち歩かない時などにはちょうどいい大きさですね。

オールレザー以外のバッグにもご注目。

先ほどの2型はその可愛らしいデザインゆえ女性向けでしたが、このMidi Toteは男女ともに違和感なくお使いいただけるはずです。

本体には、1864年創業のスコットランドの生地メーカーHalley Stevensons社製ワックスドコットンを使用しています。

クラウド(青紫がかった薄灰色)、ネイビーはあっさりとした質感のものを、チェスナットカラーはオイリーでムラの出た迫力のあるものを、と、色によってワックスの入り具合を変えているのが心憎いですね。

この生地はそれほど厚みはなくとも頑強で、撥水性、耐汚性を備えています。

ハンドルや補強パーツは、英国らしくブライドルレザー…ではなく、イタリアのベジタブルタンドレザーを採用。

雰囲気がマイルドで、ブライドルレザーよりひび割れが発生しにくい特性が活かされています。

この柔軟な発想からも、デザイナーの実力が推し量れるというものです。

バッグ自体は開口部をマグネットひとつで留めるシンプルな構造で、

内部には内ポケットが設けられています。

ちょっとユニークなのが、この両側のスナップ。

これを接合すると、バッグ自体がおむすび型に変化します。

ひとつぶで二度美味しい、そんなトートバッグです。

まだまだ続きます。
小物も見逃せませんよ。

財布は人によって正解が異なるため、これぞ万人にお薦め!というのも難しいのですが、キャッシュレスがここまで普及すると、財布も小さくていいよね、というスタイルは確実に増えています。

そんな方には、このLoux Walletを。

糸を使わず、リベットとギボシだけでつくられた簡素なつくりながら、

コンパクトなボディのなかに三層が構成されています。

財布同様、ごくシンプルな構造で、かつじゅうぶんな機能性を備えているGlasses Case(眼鏡ケース)は、色バリエーションも豊富にご用意しました。

老若男女も問わず、飽きることなくじっくりと付き合っていけるデザイン、そしてそれに応えてくれる上質な素材。

それでいてほっこりしたクラフト感が薄く、洗練された印象にまとまっています。

このように、バッグ、小物とどれも自信を持ってお薦めできるものばかり。

春は新たな生活、新たな交流の季節です。
せっかくですから、持ち物にも新たな出会いを取り入れてみませんか?

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Orbed Tab Bag ブラック/ オリーブ/ ペトロール
Half Orbed Tab Bag チェスナット
Midi tote クラウド/ ネイビー/ チェスナット
Loux Wallet トリュフ/ パティ/ ペリウィンクル
Glasses Case ブラック/ チェスナット/ キャラメル/ パティ/ ペトロール

ハバナ奇譚 ~ mando/ バンダナジャカード キューバシャツジャケット

mandoの服の魅力をひとことで言い表すのは難しいのですが、なかでも独特のミクスチャー感覚には毎度唸らされます。

「ドレス×ストリート」とか「オーソドックスなデザイン×最高級の素材と仕立て」といっただれでも思いつくようなクリシェではなく、さまざまな概念、カテゴリーのエッセンスを軽やかに混ぜ込みながらも「まさにmando」としか言えないオリジナリティに着地させる、そのノーボーダーかつ芯の通った服作りの感覚は、ブランド発足から30年近く経ったいまもなお研ぎ澄まされる一方です。

今季の新作であるこのシャツジャケットも、そんなmandoらしさが凝縮されています。


どこから説明を始めればよいのか、まず服としては、ご覧の通りいわゆるキューバシャツをベースとした、開放的なシャツジャケットです。

遠目で見ると無地のようで、近づいてみると緻密なバンダナ柄が全体を覆っており。

その柄もプリントでなくジャカードで織り込まれているのだから、驚く他ありません。

ポケットの異素材使いが、この柄を穏やかに引き立たせます。

さり気なく、しかし効果的、ベテランの妙技ここにあり。

それにしても、総柄のみならず繊細なプリーツや生地のコンビ使いまで駆使し、いくらでもうるさくなりそうなものですが、この端正な統一感はどうしたことでしょう。

着用時の上品かつ肩の力の抜けた洒脱なプロポーションに至るまで、これ見よがしなノイズを感じさせない、大人のための一着です。

ふだんの装いに、それこそ無地の上着を羽織るような感覚で、気兼ねなくお使いいただけます。

「ホントに~?」とお疑いの方は、是非店頭でお試しください。
誇大な表現でもなんでもないことは、ただちにご理解いただけるはずですよ。

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