店主、ここ1~2年でいちばん袖を通した服は何だろう、と考えると、ItheのNo.67-IO、通称“イザコート”ではなかろうかと思います。

洗練された佇まい、洗濯機で洗えるうえ数時間で乾くという機能性、そして秋から冬、春にかけてミッドレイヤーを調節することで長い期間着られる絶妙な保温性。
日常、展示会、そして出張と、幅広い場面で八面六臂の大活躍です。
そういえば昨年の『はたちメシ』でも、雨の母校のキャンパスで着ていました。
この日は雨が降っていただけでなくずいぶんと肌寒くて、このコートが重宝したんですよね。
「世の中なめきっていた」頃の〝はたちメシ〟バイト代が入ったら…二十歳の頃に食べていた「思い出の味」とともに、当時を振り返ると… (withnews)
そんな傑作ですが、実はレギュラー的に展開されてはおらず、基本的には受注会でのオーダー対応品として提案されていたため、実物をご覧になったことのない方も多いのではないでしょうか。
というわけで、わずかに残っていた生地を使い、再度作ってもらうことにしました。
せっかくなので、ちょっとしたアレンジを加えた別注モデルとして。
このイザコート、1960年代のトレンチコートを原型とし、現代の都市生活に於いて不要である意匠を削ぎ落してミニマルにデザインされています。
そのため、(洗濯でのボタン破損リスクも考慮して)通常のボタンではなく、スナップボタンを採用していました。
開閉の楽さもあって、一ユーザーとしても気に入っている仕様ではあるのですが、このスナップボタンがダブルブレストのコートに配置されている構造上、両脇のポケットがどうしても小さくなってしまいます。
ならば、いっそ通常のボタンにしてしまおう、というのが今回の別注のポイントです。

生地のとろんとした柔らかさゆえに力ボタンが必要で、結局ボタンのつけ糸がポケットを貫通することにはなってしまったのですが、それでも内袋自体が大きくなったことで、収容力がアップしました。
また、この貫通しているつけ糸が大きくなった内袋をコート本体に固定し、内袋の自重で垂れ下がることを防止する役割も果たしています。
さらに、このボタンにすることにより、服の雰囲気からギア感が薄れ、オンオフ問わず対応できるようになりました。
もともと抜群の汎用性を備えていましたが、もう何が合わないのか探すほうが難しいくらいです。
先述の通りトレンチコートを限定としながら、エポレットやガンフラップ、Dリングといった武骨なミリタリー要素は徹底して排除されています。

くわえて、シルエットもふっくらしたAラインへ変更し、印象をさらに和らげました。
こうしたアレンジが、ジャンルやカテゴリーを超越した普遍性を帯びた一着へ導いています。
生地に関しても特筆せねばなりません。
石川県のテキスタイルブランドNOTO QUALITYのポリエステルファブリックを採用。

洗濯が可能でかつ速乾というのはすでに触れましたが、時間経過や使用から発生する機能の消耗劣化にめっぽう強い、長寿命の生地でもあります。
自然なシボ感が化繊特有の冷たさを抑えながら、皺がつきにくく、とにかく扱いが楽です。
どうしても洗濯やケアの懸念がちらつきやすいコートには、願ったり叶ったりの生地ですね。
こうした要素が掛け合わさり、都市生活のためのデザインと機能性、どちらもきわめて高いレベルで両立したコートが完成しました。
残念ながら今回も限られた数量しかご用意できませんでしたので、気になる方はどうぞお早めに。







































































































