名前をつけてやる ~ EEL Products/ EARL SLACKS

昨日、早くも木枯らし1号が吹いたそうで、それもあってか急に秋の深まりを感じる木曜日です。

気分だけでなく身体も暖かい服を欲する季節に入りました。




EEL ProductsのEARL SLACKSが、ここにあります。

そもそもEEL Productsの“EEL”は“Easy Earl Life”の略で、Earlは「伯爵」を意味しますが、ニュアンスとしては「お気楽貴族的生活」といったところです。

そんなEarlの名を受け継ぐこのパンツは、バンド名を冠したアルバムのように、ブランドの現在地と自信を示す完成度を誇ります。

「伯爵」を彷彿させるクラシカルな第一印象ではあるものの、実際のところは「お気楽」にも近い設計で、ふっくらしたワイドシルエットが短めの裾丈で寸断された、チャーミングなシルエットです。

だいたいどんな靴にも合いますが、なかでもブーツとの相性は頗る好く、秋冬の装いに於いて八面六臂の活躍を見せてくれます。

生地の組成は、ウールをベースに、カシミアや補強のための化繊などをミックスしたハイブリッド構成。

ちょっとゴワゴワとした硬めの質感に見えて、実はとても柔らかく優しい肌触りが持ち味です。

膝まで裏地がつき、滑りが増しているだけでなく、防風性も高められています。

着用時のシルエット、穿き心地、使い勝手、どれをとっても文句のつけようのない逸品です。

開店当初(2015SS)からずっと継続してEEL Productsの服を取り扱ってきたうえで、このブランドの秋冬向けのパンツとしてはひとつの完成形に至ったのではないかと認識しています。

ゆえに、通常のS、Mのみならず、女性や小柄な男性にもお薦めのXSサイズも各色揃えました(ただし、弊ブログを執筆前にダークブラウンのみXSは完売してしまっていますが)。

ともかく一度穿いてみてください。
きっとこのパンツの虜になるはずです。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ チャコール/ ダークブラウン

LOVEサバイバー ~ mando/ ウールコットン マウンテンパーカ

雨の冷たい季節になってきました。
もう春や夏のように「濡れてまいろう」とはいきませんね。

となれば撥水性、防水性の高いアウターが重宝するものです。

が、ちょっと立ち止まってみましょう。

優れた機能性の価値はあらためて問うまでもありません。
最近は街でも違和感なく着られる洗練されたデザインのものも多く、うれしい限りです。

が、そうした使い勝手だけで服を選ぶというのも、なんだかあまりに合理的すぎて、正しすぎて、一抹の寂寥を覚えます。

人には、ときに「正しさ」よりも大事にしたくなる何かがあるのではないでしょうか。


そんな前振りで紹介するのがマウンテンパーカで、肩透かしを食らったような感覚に陥る方もいらっしゃるかと思いますが、どうかこのまま読み進めてください。

一般的なマウンテンパーカに用いられる生地は、ロクヨンクロス(コットン60/ナイロン40の軽撥水生地)や、もっと防水透湿性に秀でた素材が主流ですが、ここで使われているのはウール×コットンの綾織生地。

防水?何のことでしょう。
それより、この艶を抑えたシックな表情、生地のゆらぎ、実に上品ではありませんか。

裏地も防水性より肌触りや風合いを重視し、レーヨン×コットンのなめらかな生地が採用されています。

mandoらしい金のパイピングがまた美麗ですね。

そう、これはギアとしてでなく、あくまで美しさを追求したマウンテンパーカです。

しかしそれでいて、作り込みには一切の手抜かりがありません。

左胸と

両脇にはしっかりとしたマチつきのポケットが設けられ、

それぞれのフラップはスナップボタンで固定可能。

くわえて、右側の裏面にはファスナーつきのポケットが内蔵されています。

前立てはスナップボタンとファスナーの二重構造で、

ファスナーはダブルジップ式となっています。

換気だけでなく、座るときにも可動域が広がって便利です。

また、腰と

裾にはドローコードが通されており、

フィット感や防風性、そして全体のシルエットを調節することができます。

この「抜くところは抜く」「締めるところは締める」バランスの巧みさは、まさにmandoならではの妙技です。

いわゆるアーバンアウドドアやゴープコアとは別次元の発想の、都市生活をサバイブするための魂のアウトドアウェアが、ここにはあります。

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私は何を措いても彫刻家である ~ An Irrational Element/ Sculpture Trainer

My view of the matter, for what it is worth, is that there is no such thing as a logical method of having new ideas, or a logical reconstruction of this process.
My view may be expressed by saying that every discovery contains ‘an irrational element,’ or ‘a creative intuition,’ in Bergson’s sense.
In a similar way Einstein speaks of the ‘search for those highly universal laws … from which a picture of the world can be obtained by pure deduction.
‘There is no logical path.’ he says, ‘leading to these … laws. They can only be reached by intuition, based upon something like an intellectual love (Einfühlung) of the objects of experience. ’

仲町台に、An Irrational Element(AIE)が帰ってきました。

2年半ぶりの登場ですので、その名をご存じないお客様も増えてきたのでは。
というわけであらためて簡単に紹介をしますと、デザイナーKai Bolwijn氏が2017に発足した、アントワープに拠点を置くブランドで、「非合理的な要素」なる変わった銘は、冒頭のカール・ライムント・ポパー『科学的発見の論理』の一節から引用されています。

「すべての発見には、“非合理的な要素”または“創造的な直感”が含まれている」これこそ、名の由来のみならず、服作りの根幹です。

すなわち、新しさを生み出す手段として、合理性ではなく、敢えて非合理的な感覚、直感を組み合わせるということ。

何かと最短距離最小コスト最適解を求めがちな昨今の風潮に抗うが如く、ともすれば単なる無駄と見做されがちな非合理性を大切にする、その姿勢とプロセスが結果として美しさを生みます。

そんなAIEの代表作のひとつが、Sculpture Trainerです。

代表作と言いながら、実は当店では初のお披露目となりますが、そこはへそ曲がりなバイイングゆえ。
逆にさまざまなモデルを通してブランドを理解できているいまだからこそ、この名作を当店で取り上げるタイミングかと思いました。

ベースとなっているのは、言わずと知れたドイツ軍のトレーニングシューズ、いわゆるジャーマントレーナーです。

テーマとしたのは、あくまでプロダクトとして、美しく、そして多少のハードな使用にも耐えられる、汎用性の高いスニーカーであること。
ゆえに、ジャーマントレーナーのレプリカ的再現は目指していません。

それは、なぜこのモデルがSculpture(彫刻)と名付けられたのか、という理由にもつながります。

デザイナーのKaiは、ジャーマントレーナーを観察し、その大部分が直線的なラインで構成され、三角形の要素もいくつか含まれていることに気づき、それらを取り除きたいと考えました。

そこで、コンスタンティン・ブランクーシ、イサム・ノグチ、ウォートン・エシェリックといった彫刻家たちの円く曲線的な作品から着想を得て、ジャーマントレーナーの構造を再解釈、再構築しています。

まず、サイドラインを排除し、

トウや

ヒールの補強パーツをリデザイン。

直線や鋭いエッジを限界まで排除し、まろやかな曲線で構成された優しいフォルムへと生まれ変わらせました。

全体のバランスとしては、トウの短さや甲の低さなどがヴィンテージのスニーカーを彷彿させます。

この温かくノスタルジックなデザインをクリーンに引き立てるのが、上質な素材です。

イタリア産のソフトレザーを使用したアッパーは、トレーニングシューズと呼ぶにはだいぶ優美な印象を与えます。

ライニングの履き口と

インソールにも柔らかい牛革が用いられており、足に吸い付くような心地好い履き心地には驚かされます。

アウトソールには、ジャーマントレーナーと同じくBW SPORTを採用。

チェコのKSBW社が製造しているソールで、「BW」はブランド名でなくBUNDESWHER(ドイツ連邦軍)の略称です。

このチョイスには、オリジナルへのリスペクトが感じられますね。

昨今の円安などの社会情勢による要因もあって、決して安価なスニーカーではありませんが、それでも納得できるだけの出来栄えです。

長く愛せるレザースニーカーをお探しの方は、是非一度お試しを。

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いかれたbaby ~ written by

一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら…釣りを覚えなさい。

作家・開高健が紹介したことで知られる、中国の古諺です(開高の創作との説もあり)。

開高のみならず、ヘミングウェイなど、和洋問わず多くの作家が釣りに魅せられ、そこから多くの優れた文学作品が生まれてきました。

残念ながら店主自身は子供のころに父親と何度か行った海釣り程度しか経験がないため、語る言葉を持ち合わせていないのですが、それはさておき、この遊戯は文学のみならず服にも多くのアイディアを齎しています。
フィッシングジャケットやベストが、その最たるものでは。

今季のリトゥンバイは、この機能的かつ限定的なスポーツウェアに着目。
独自のフィルターを通してアイディアを重ね、再構築しました。

まずはジャケットからご覧いただきましょう。



ベースにしたのは、いまはなきハンティング&フィッシングウェアブランドMASLAND SPORTSMAN’S CLOTHESの1940年代製フィッシングジャケットです。

もちろん、ただそのまま復刻、とか、素材を上質なものに変えて、といった安易な手法ではなく、構造と文脈を理解したうえでダイナミックな換骨奪胎が行われています。

まず目を引くのが胸元のボアですよね。

この部分には、深めのポケットが設けられています。

MASLANDのジャケットではここにボアでなくツルリとした質感の防水ラバー素材が使われており、BUILT-IN CREELと称されていました。

なぜ防水かといいますと、なんとこの用途は魚籠(ビク)。

つまり、釣った魚を、そのまま収納するためのポケットです。

もちろんこのジャケットのポケットに本物のお魚を入れるのは推奨できませんが、ここにボアを当てるのもまたフィッシングジャケットの文脈に即しているのが面白いところ。

フライフィッシングでは、毛鉤(虫を模した疑似餌)を用いるのですが、この毛鉤、一度濡れてしまうと表面張力を失ってしまい、水に浮かぶことができなくなります。
その対処用として、毛鉤を引っ掛けて乾かすためのムートンパッチと呼ばれる道具が存在します。

すなわちこのポケット、魚籠としての機能をもったポケットと毛鉤乾燥用パーツとしての機能をもったパッチ、それぞれの意味をわざわざ失わせて合体させているわけです。

それでいて、多数のポケットは機能的なまま。

何をどう使おうか、想像力が掻き立てられます。

背面にも大ぶりのフラップつきポケットが。

携行品の少ないシチュエーションであれば、鞄要らずですね。

さて、このジャケットと基本的な形状を共通にしたベストもご用意しました。


ジャケット、ベストともに、主に用いられているのは琵琶晒し染めを施したコットンの生地です。
しっかりとしたハリ、剛性を備えつつ、少し使い込んだような、角の取れた風合いを特徴としています。

すでに街着としても市民権を得ているフィッシングベストですが、さらに都市生活に馴染みやすいというのは言うまでもありませんね。

ジャケット同様、充実したポケットのお陰で、もはや着るバッグです。

さらに派生して、今度は生地も形状も変えた別のフィッシングベストを。


ウールとモヘアをブレンドした、ふわふわのダブルフェイス生地で仕立てられています。

ますます釣りに適していない生地のチョイスではありますが、こちらのほうが一般的なフィッシングベストに近い構造ですかね。

ヨーゼフ・ボイスが着ていたのもこうしたマルチポケットタイプ。

ちなみに、フィッシングベストは、フライフィッシング界のレジェンド、リー・ウルフ(Lee Wulff)氏が考案したと云われています。

1960年代初頭にColumbia Sportsが初めて世に出したと伝えられることもありますが、同社は豊富なバリエーションを開発し、フィッシングベストを世に広めた、という評価が正しいようです。

アメリカン・フライフィッシング博物館の刊行物『The American Fly Fisher』によれば、リー・ウルフは当時の釣り人の服装に不便を感じ、多くのポケットを備えたベストを考案、1932年に自作の一着を完成させました。

当時はベストの上にツイードジャケットを羽織り、ネクタイを締めて…というのが一般的な釣り人のスタイルだったようですから、その発想の革新性は驚異的です。

さて、そうして産声を上げてから100年近くが経過したこのマルチポケットフィッシングベスト、長い歴史の中でさまざまなメーカーが研究、開発を重ねてきたもので、そして基本的に個々の釣り人のスタイルが答えを出すものゆえ、このポケットは絶対にこれ用、といった厳密な雛形やルールがありません。

ですので、このベストについている大小さまざまなポケットも、自分ならどのように使うか、イマジネーションを駆使してみてください。

左側は主にフラップ+スナップ式、

右側はスナップつきの肩を除けば

オープンな形状、と、すべて大きさも形も違いますが、意外と頭の中で整理しやすい配置になっています。

背中のドローコードつきポケットも、何を入れようか、あれこれ考えるだけでワクワクしてきますね。

腰にはフィット感を高めるアジャスタも付属し、兎にも角にも盛りだくさんなデザインです。

それでいて、生地の風合いもあって、ゴチャゴチャとうるさくせず上品にまとめてしまうのがさすがリトゥン。

釣りや、アメカジ的文脈から解放され、構造そのものを堪能できる一着に仕上がっています。

ジャケット、ベスト、ともに、本格的なギアに馴染んでいる釣り愛好家も、ふだん釣りとは縁がない方も、お好きなように愉しくお召しいただければ幸いです。

オンラインストアはこちらです→
Fishig jacket ブラック/ カーキ
FIshing vest ブラック
Multi pocket vest チャコール

ちょっとした事 チョコっと勇気を ~ K.ITO/ ウールモヘアシャギー チロリアンジャケット

靉靆とした9月とは打って変わって、鬱憤を晴らすようにおひさまぽかぽかな10月。

そんなわけで、近頃昼はだいぶ暖かい日が多いのですが、それでも朝晩はしっかりと冷えるようになり、加速する日の短さもあって秋の深まりは確かに感じます。
天気予報によれば、今週後半からぐっと気温も下がるそうですね。

店頭でも、この先の寒さを想定した服選びをするお客様がチラホラと増えてきました。



寒冷な山岳地帯であるチロル地方で生まれたチロリアンジャケット。
現地仕様の本格派となればたいへん暖かく、そして頑強で、言うまでもなく素晴らしい服ではあるのですが、現代の感覚からすると決して着心地の好いものではなく、比較的温暖な横浜の生活には少々オーバースペックでもあります。

そんなチロリアンジャケットを、おなじみK.ITOが都市生活のための服として生まれ変わらせました。

毛足の長いウールモヘア(+補強のナイロン)の生地は、保温性は言うまでもなく、たいへん軽く柔らかいのも特徴です。

パイピングが要所要所を引き締め、耐久性を向上させるだけでなく、視覚的にも本体のふんわりしたエアリーな質感を際立たせています。

さらに着心地を高めるのが、両脇に接ぎのない筒状の構造です。

立体的な裁断により、人体にまったく逆らわず、実重量よりもはるかに軽い着心地を生み出しました。

この構造もあって、程よいゆとりがありつつもオーバーサイズではない絶妙なサイズバランスが実現し、アウターとしてだけでなく、外套に重ねるミッドレイヤーとしても活用できる、汎用性の高い一着に仕上がっています。

いちおう男性用の服ではあるのですが、いざ店頭に出してみると女性用としての人気も高く、たしかにハイネックなどを重ねると、とてもチャーミングな表情を見せてくれます。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ネイビー

ブラック・マーケット・ブルース ~ MANAVE/ Marché Coat

傑作・Marché Coatが、この秋も届きました。

とはいえ、入荷直後にそのまま巣立ってしまったものもあり、早々にラスト1着のご紹介です。


デザイナーの真鍋氏がある日パリのマルシェで見かけた素敵なマダムの装い、オーバーサイズのコートを軽やかに身に纏っていたその姿の残像が、このコートの着想源。

それゆえにふっくらとした甘く優しい形状が持ち味ですが、黒いピンポイントオックスフォードだと、ほどよく辛口な雰囲気となりますね。

大きな服を羽織る印象を基にしているため、肩が落ち、全体的にゆったりとしたサイズ感です。

が、ただのビッグサイズではなく、あくまでその中の体に服が綺麗に嵌るよう、肩の傾斜や袖付けが緻密に計算されています。

たとえば袖。
それ自体は太いのですが、袖口にかけてゆるやかに絞ることで、単なるサイズの大きな服ではなく、意図的な設計であるのが見て取れます。

モデルとなったマダムがそうしていたように、袖を多少捲って着ることも想定されたデザインです。
袖口の芯には柔らかいものを使用し、捲ったときに裏地が出づらいよう、袖口の折り返しは深めにとられました。

こうした細やかなデザインが、このシンプルな服に生命を吹き込みます。

たっぷりしたAラインのようで、袖同様に裾も若干すぼまっているのも無視できません。

この傾斜によって、たっぷりと空気を含んだ軽快なシルエットを生み出しながら、過剰な広がりを抑え、上品なサイズ感に着地させることに成功しています。

裏地はさっぱりとした薄手のコットン。

防寒性、防風性を高めすぎていませんので、気温がそこまで低くない秋や春にも使いやすいはずです。
そしてもちろん、中に重ねるもの次第で、真冬にも対応してくれます。

どこをとっても完成度の高さには唸る他なく、毎回ご好評いただくのも当たり前のコートですが、この服のこの柔和な雰囲気、フランスのMANAVE指定工場だからこそ成し得るものではあります。

昨今の国際的な状況や国内の政治経済事情など、欧州でのものづくりは、年々厳しさを増す一方。

こうしてご紹介できるいまのうちに、是非一度ご検討ください。

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指の先でメルヘンして ある種のカーブ描けば ~ ATOZ/ ATOZ SHIRT

昨年の秋、そして今年のGWと、2度のポップアップイベントを経て、着々とお客様からの支持を集めてきたATOZ。

なかでも定番のATOZ SHIRTは、イベントでお買い上げいただいた方から、後日色違い生地違いで欲しいとご要望をいただくことも。

というわけで、秋らしいチェックを仕入れました。


デッドストックの生地を使用することが多いATOZ SHIRT、いつどんな生地が出てくるかは一期一会です。
しかしそれだけに、ピンポイントで「これ!」というものに会えると喜びもひとしおというもの。

今回のシャツは、一見するにコットンフランネルと思わせて、実はざっくりしたドライタッチの生地を用いています。

乾いた質感と、温かみのあるチェックの色彩のコントラストが、実にユニークですね。

さてATOZ SHIRT、イベントではおなじみの型ではあるのですが、きちんとブログで紹介したことがないので、あらためて解説していきます。

ブランド名を冠するだけあって、ATOZそのものを体現したようなこのシャツ。
さまざまな古着のディテールを掛け合わせ、編集して生まれた、単なるヴィンテージの再現に収まらない、まったく新しい服です。

まず襟、ここはフランスの古いワークウェアのもつ緩やかなカーブを踏襲。

台襟を省いた構造で、首元のボタンをどれだけ留めるか、あるいは開くかで、表情が変化します。

両胸のフラップポケットは、プレンティスやビッグマックといったアメリカのワークウェアを彷彿させますね。

袖口のストームカフスは、1940年代のアメリカのワークシャツに見られる仕様です。

ボタンを外してもバタつきにくい形状で、機械作業中の巻き込みや引っかかりを防ぐ目的で開発されたと云われています。

背面を見てみましょう。

バックヨーク自体は1940年代のアメリカのシャンブレーシャツの簡素なスタイルを取り入れています。

ここに、100年ほど前にフランスの羊飼いや家畜の仲買人らが着用していたビョード(Biaude)と呼ばれるスモックに着想したギャザーが組み合わせられています。

こうして、独特のコントラストが生まれました。

ボタンにも手抜かりはありません。

前立て、袖口ともに、2種類の貝ボタンを合わせたリバーシブルタイプを採用しており、ボタンの色を変更したりすることが可能です。

白いボタンと彩りのあるボタン、だいぶ印象が異なりますよね。

いつどのようにどちらを使うかは、お好みや気分でどうぞ。

僕たちが永遠に愛せる服
Mixture of classics
時代・背景・役割を超えたデザイン

ATOZの掲げるコンセプトすべてが、このシャツに集約されています。

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I Wanna Be Yours ~ HAVERSACK/ ウール ブラックウォッチ アークティックトラウザーズ

ひんやりとした乾いた空気がそうさせるのか、低く沈んだ陽射しがそうさせるのか、秋が深まるにつれ、スコティッシュなタータンチェックの存在感が増してきています。

ブラックウォッチもそのひとつ。


となれば英国調に…といきたいところですが、ここはHAVERSACKならではのインターナショナル料理を堪能することにしましょう。

まず気になるのが、トラシショナルとはいえないデザイン。

英国ではなく米国の、それも寒冷地用オーバートラウザーズをベースに設計されています(もちろん、このパンツはオーバートラウザーズとしてでなく単体でお使いいただけます)。

ウェストのドローコードや

ポケットのフラップ、

膝のアクションプリーツに

ゴムで絞られた裾と、

実用性の高いギア的な要素をふんだんに盛り込みました。

それでいて硝煙臭くもならず、武骨さが完全に削ぎ落とされているのはさすがHAVERSACKです。
ここで落ち着いたブラックウォッチの配色と、その魅力を最大限に引き出す上質なウールの生地が大きな仕事を果たしています。

バルーンシルエットの柄パンツということで、少々インパクトの強い印象を受けそうですが、いざ穿いてみれば、程よいスパイスを効かせる程度の匙加減で、決して扱いづらい服ではありません。

ついつい重くなってしまいがちな秋冬の装いに、さり気ない軽妙を齎してくれる一着です。

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わたしの一番かわいいところ ~ Post Production/ Box toe Center zip

そもそもの骨格、筋肉といった肉体的な特徴から、男性用の服や靴は「かわいい」とか「愛嬌」といった方向からは外れがち。

しかし、個々の内面の価値観までそれに合わせる必要はありませんし、もっといえば、「かわいい」「愛嬌」もデザインの力によって実現可能です。


Post Productionのこの秋の新作アンクルブーツ、Box toe Center zipは、かわいすぎず、しかし何とも好ましい愛嬌に満ちています。

まず、アッパーの革はワイルドなホースヌバック。

堅牢なグッドイヤーウェルテッド製法でつくられ、

厚みのあるレザーソールに

ラギッドなラバーのヒールリフト。

ヒールの積み上げも敢えて粗野な雰囲気で仕上げられています。

ここまでは男性的で力強い要素ばかりですね。
何もかわいくありませんし、愛嬌もあるとは言えません。

しかしそこからがPost Productionならでのセンスの光るところです。
この猛々しい土台に、チャーミングな要素が次々と掛け合わさります。

まず、最初に目に入るであろう正面の大ぶりのジップ。

そして、昔のスキーブーツを彷彿させる捨て寸少なめのボックストウ(スクエアトウ)。

つま先が最初から上がっているのも、ユーモラスな表情に一役買っています。

そして、往時のスニーカーのようなアッパーデザインも、チャーミングな雰囲気を膨らませてくれますね。

こうしていつしか土台の男性的要素は中和され、それでいて単なる「かわいい」に傾かない、絶妙なポジションに着地させてしまいました。

特筆すべきはルックスだけではありません。

今回新開発されたPP16木型は、先述の通りボリューミーなボックストウを特徴としており、前足部も比較的ゆとりがあります(ウィズで表現するとE程度です)。

その一方で、踵はかなりコンパクト。

おそらく、Post Production史上、もっとも小さなヒールカップではないでしょうか。

そして土踏まずの絞り込みも強めに設定されています。

こうした踵から土踏まずにかけてのタイトなフィッティングのおかげで、愛嬌のあるぼってりしたシルエットと、快適な歩行性を両立させてしまいました。

デザインのみならず、木型の設計に至るまで、実に驚嘆すべきバランス感覚です。

決してオーソドックスとは言えないデザインゆえ、若い人向けと思いきや、大人の使用にも難なく応えてくれます。
むしろ、40代半ば以上の方なら、このスクエアトウに懐かしさと馴染み深さも感じるのではないでしょうか。

いつかPost Productionの歴史を振り返ったときに、ひとつのマイルストーンとして名が刻まれている、そんな未来を感じさせる傑作の誕生です。

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