Bless the beasts and children ~ FAUVES/ 413 CARPENTER JACKET

昨年突如として獲物を狙う野生の獣の如く現れ、老いも若きも問わず構わずその喉笛に食らいついたFAUVES。

濃厚な作り込みと、着用時の意外なほど上品な佇まいのギャップに、目の確かなお客様たちが次々と仕留められていきました。

詳しいブランドの背景やその名の由来は以前の弊ブログをご参照いただくとして、いまは先日届いた今季の新作の話をせねばなりません。


ぱっと見はいわゆるカバーオールジャケットのようで、しっかりと立ったホワイトステッチなのもあって当店にしては珍しくアメリカンワークテイストだなと感じる方もいらっしゃることでしょう。

しかし一度袖を通してみれば、当初の予想とはまるで違う姿となるはずです。

目の細かい表面と目の荒い裏面で構成した二重織キャンバスは、耐久性が高いだけでなく比較的軽く、ごわつきは感じられません。

欧米のクラシカルなワークウェア特有の平面的な袖付けではなく、曲線を描きながら腕に沿う立体的な袖。

こうしたワークウェア離れした仕立てのよさと、Aラインの長い着丈が、身に纏ったとき実に優美なシルエットを生み出します。

美術に於ける「野獣派」が獣じみた荒々しい作風を指すのではないのと同様に、「獣」を意味するFAUVESの服もまた、その獣性は表面的なところには現出していないというわけです。

オンラインストアはこちらです


バラ色ですか ブルーですか 明日見る夢は ~ ZDA/ Marathon 2400FSL & 2300FRL

10月というのに盛夏を思わせる暑さが立ち込め、仲町台ではまだ蝉の残党の気配が漂っています。

なんでも、今年は真夏日が90日以上あったそうで、となると一年のうち4分の1が真夏ですから、もうとんでもない状況です。

が、天気予報によれば明日からようやくだんだんと気温も落ち着いてくるそうで、これだけの猛暑に体を慣らされた我々は、きっと気温以上に肌寒く感じてしまうことでしょう。

そんなわけで、店内に豊富に揃った秋物を、是非皆さまにご覧いただきたいところです。

新作はもちろん服に限らず、季節とは関係なさそうなZDAのスニーカーも、心なしか秋めいているように見えます。

今季登場するのは2種類、いずれも型は継続品ですが、素材や色の変化によってまた印象を新たにしました。

まず先にご紹介するのは、2400FSL。

ZDAといえばこれ、とイメージする方も多いはず。
2016年の再始動時からずっと展開され続けている代表モデルです。

今回の新色は紫がかったワインレッドで、軽さと落ち着きが両立した絶妙なカラーバランスとなっています。

おそらく1980年代にランニングシューズとして設計されたこのモデルは、テクノロジーの進化の過渡期にあった東欧の靴ならではの魅力に溢れています。

複数のパーツが重なりあったアッパーは、単なる見映えのためにこうなっているのでなく、靴紐を引くことでさまざまな角度から足をホールドしてくれます。
機能そのものが視覚化されたデザインです。

硬さの異なるEVAフォームを積層したミッドソールは、クッション性と安定性を兼ね備えています。

マラソンソールと呼ばれるアウトソールは、グリップ性以上に独特の浮遊感を伴うポワンポワンした履き心地に驚かされます。

もう一型2300FRLは、4年前に復刻し、色違いも含め何度か弊ブログでも登場してきた2300FSLをリアレンジしたモデルです。

リアレンジとはいうものの、ひょっとするとこちらのほうがオリジナルに近いのでは。

例によって記録に乏しいブランドにつき、断片的な情報を搔き集めながら背景を推測していくしかないのですが、店主の見立てでは、このモデルはZDAでも作られたかも知れない一方で、1980年代にSPORTVYROBAブランドで製造されていたランニングシューズとひじょうに近似しています。

戦後期チェコスロバキア靴製造の歴史を研究しているЮрай Шушка氏のサイトで確認できるこのシューズは、ソールや細部に差異はあれど、ZDAとまったくの無関係な靴と言いきることは難しいでしょう。

何にしても、各パーツの金型が残っていたからこそ復刻ができたわけですから、SPORTVYROBAもZDAの別ブランドだったのか、それともZDAがOEM生産を請け負ったのか、実態はそんなところだろうと察せられます。

と、そうした背景はさておき、兎にも角にも不思議なデザインの靴です。

乳白色とブルーの組み合わせに掛け合わせた、まさかのオレンジとピンク。しかもエナメル。

2300FSLはこのブルーの部分が水色のスウェードでしたが、今回はSPORTVYROBAを踏襲し、もう少し濃い色目のヌバックが採用されました。
また、オレンジとピンクも蛍光色に近い調子になり、全体のコントラストが強まっています。
より80年代テイストが増したとも言えますね。

配色だけでなくアッパーデザインも珍妙です。

とくに三つも鳩目を打ち付けていながら、穴が貫通してないため一切ベンチレーションの役割を果たしていない謎ディテールには、思わず頭を抱えます。

積層EVAに2400FSLと同じマラソンソールを搭載さいていますので、履き心地は意外と快適です。

同じブランドの同じシリーズでありながら、まるで性格の異なる2型。
当然優劣は存在しませんから、どちらが得かどうかなんて比較もできません。
ご自身の感覚ひとつでお選びください。
どちらを取ったとしても、きっと愛すべき相棒として活躍してくれるはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
2400FSL ワイン
2300FRL ブルー


君たちは ありあまる奇跡を 駆け抜けて 今をゆく ~ ASEEDONCLOUD/ Kigansai shirt

ここではないどこかの話です。

羊飼いの子として生まれたふたりの少女たちがいました。

きょうだいだったのか双子だったのか、あるいはただ両親の職業が同じだけの友だちだったのか、そのあたりは詳らかには伝えられていません。
ただ、どうもほかの家族と暮らしていたわけではなく、ふたりきりで生活を送っていたようです。

いずれにしても性格のタイプは真逆だったらしく、ひとりはしっかり者の世話焼きさん、もうひとりは自由奔放大胆不敵豪放磊落。

そんなふたりとも、一緒に生活する羊たちと会話できるという、ちょっと変わった能力を持っていました。

さて、彼女たちが暮らす村では、「自分たちの村が平和で、穏やかに生活を送れているのは、動物たちが悪霊や魔物が村に入ってこないよう、動物たちが退治してくれているから」と言い伝えられ、森の動物たちを守り神として崇めています。

冬を迎えたある日、自分たちの他に寄る辺もないふたりは、ふとした好奇心からその守り神たる動物たちに会いたいと思い立ち、森に入っていきました。

もともと村でも羊とおしゃべりしていて、動物との対話は慣れていますから、そうして森の多くの動物たちと親睦を深め、いつしか守り神であるキツツキ、ハリネズミ、フクロウ、ヘラジカ、ウサギ、リスとも仲良しに。

そうして動物たちから仲間として認められてからのこと。
ある日、守り神たちが彼女たちに相談を持ち掛けました。

「いつも寒い時期になるとリーダーのクマが舟に乗って旅に出てしまう。彼が早く帰ってくるように、一緒に寒さを追い払ってほしい」

頼みを聞き入れた彼女たちは、動物たちと一緒にさまざまな魔除けなどを駆使したり儀式を行ったりと、大いに苦心することとなります。

そうして悪戦苦闘すること数ヶ月、ついに彼女たちは寒さを追い払うことに成功します。

冬の終わりを動物たちと祝ったのち、大きな役割を果たした彼女たちは自分の村へと帰ることにしました。

それから。
毎年寒い季節を迎えると、彼女たちはまた森に戻って、クマの代わりに動物たちのリーダーを務めています。

いまでは彼女たちは、守り神の声を聞くことのできる預言者として、村の人びとからも称えられる存在となっていました。

*********************

ASEEDONCLOUDの2023AWコレクション”kigansai”(今回はコレクションテーマがローマ字表記のみの発表のため、こちらで想像するしかありませんが「祈願祭」でしょうかね)第一弾となるKigansai shirtは、彼女たちの村での仕事である羊飼いをテーマにしたバンドカラーシャツです。


デザイン上はASEEDONCLOUDで定番的にリリースされているものを踏襲しており、一般的なボタンの代わりにギボシが採用されています。

縦長のシルエットが美しく現代的なバランスではありながら、デザイナーの玉井さんが英国在住時に蒐集していたアンティークシャツの匂いのようなものが自然に引き継がれているのが、細部から見て取れますね。

さてシャツ自体はもちろんですが、どうしたって目を惹くのがこの柄。

Shepherd diary clothと名付けられたこの生地には、羊飼いの一年がさながら絵日記のように描かれています。

春は出産の季節。

牧柵を立て、牧羊犬と絆を深めさせて放牧を始めます。

夏は当然、毛を刈ります。

牧草を獲って、晴天が続くのを祈りつつ干し草にしたり(冬への大切な備えです)、羊毛から毛糸をつくるのも、この時期です。

秋になれば、放牧していた群れを集め、雌羊と子羊を分けます。

羊は賢い動物で、母親や羊飼いから境界を教わり、それを雌の子羊に伝えることで、放牧されたときどこまでが自分たちのテリトリーなのかを、代々把握しています。
しかし、ときには迷子になった羊を探しに行かねばならぬこともあるでしょう。

日照時間が短く、寒い冬。
妊娠した雌羊への餌やりは、春に向けて欠かせない仕事です。

夏のあいだに蓄えた干し草を与えたり、何かとケアをしながら、春の訪れを待ちます。

と、名作ゲーム『牧場物語』さながらに、一年を追ってみました。

シャツ用の細畝コーデュロイにこの素敵な図柄が載せられているわけですが、

一般的な考え方として、コーデュロイにプリントをすると、生地特有の畝のため柄がしっかりと出せません。
そのため、絵を綺麗に出すため、通常より速度を下げてじっくりとインクジェットプリントを行いました。

物語やデザイン、柄のセンスは言うまでもなく、こうした地味なひと手間もまた、ASEEDONCLOUDの服に大きな魅力を付与しています。

オンラインストアはこちらです


ブラック・モンブラン ~ blanc/ west-pont(wide)

数年の沈黙ののち、アトリエ生産に踏み切ることでついに待望の復活を遂げた不朽の名品、blancのwest-point(wide)。人呼んでブランパンツ。

お待ちいただいていた方がよほど多かったのでしょう、5月に店頭に並ぶや否や想像を遥かに上回る反響を賜り、すさまじい速度で巣立っていきました。

さて、このパンツの基本色はベージュ、そして深いネイビーなのですが、後者は現在生地が手に入らない状況とのことで、復活できていません。
なのでその代わりに…というにはあまりにも魅力的な新色が登場しました。


一般的なチノクロスよりも目が細かく、さらにアルカリ加工を施し繊維を滑らかに膨潤させたウェストポイントは、この深い漆黒と相まって神秘的な艶を湛えています。

生地の目が詰まっていることから、洗濯を繰り返してもパッカリングが強調されず、質感は柔らかくなっても外見上はいかにも着古したようになりづらいのも特徴です。

2015年の登場当時はフリーサイズ(現在のサイズ1に該当)で、小柄な女性からそこまで大柄でない男性まで穿けるように、と想定されていました。
そのため、腰のアジャスタでサイズ感を軽く変えることができます。

裾もロールアップして好みの長さに調整することを前提にした仕様となっており、内側の縫合部分が袋縫いになっています。

そのため、裾を巻いてもほつれ防止のロックステッチが露出せず、ダブル仕上げのごとくすっきりとまとまります。
このパンツの大きな特徴のひとつです。

ほんとうに細部まで丁寧にデザインされ、かつ丁寧につくられていますので、意地悪な目でじろじろと探りを入れても、まったく粗が見当たりません。

たいていの服に合わせられてしまう異様なまでの汎用性の高さゆえ、必然的に出番は増え、かつとても耐久性が高いため、何年もご愛用いただいている方が多いパンツです。

そんな名作に加わった、待望の新色ブラック。
すでにベージュやネイビーをお持ちの方は新しい気分として、未体験の方はいまだから出会えた一本として、是非ご検討ください。

オンラインストアはこちらです


きっとここから愛なんだ ~ K.ITO/ 圧縮スムースカーディガン&プルオーバー

ウール天竺とならびK.ITOの秋冬といえば圧縮ウールスムース素材。

もともと特徴としてもっちりした肉感と型崩れしづらい剛性をもつスムース(インターロック)ですが、これを上等なウールで編み立て、さらに圧縮させることで、本来の魅力を損なうことなく、フェルトのような密度の詰まった質感と高い保温性を実現しています。

この生地のシリーズは毎年たいへんご好評いただいており、ブランドのみならず当店としても欠かせない存在に。
もちろん今年も新作が届きました。

詳しくは後述しますが、定番の型にややアレンジを加えたカーディガンと




シンプルにして奥深いクルーネックのプルオーバー。



今回はいつもよりカットソーらしさが前面に出たデザインとなっており、配色が組まれているだけでなく、カーディガンの肩のタコバインダーを見ても往時のスポーツウェアのエッセンスが感じられます。

K.ITOお得意のクライミングジャケットのような運動性の高い袖付け+両脇に縫い目のない構造は、例によって円みの出たシルエットと高い運動性、着心地のよさを生み出します。
考えてみればこのアイディアもスポーツウェアに近い発想ですね。

とはいえそこはK.ITO。
あくまで大人が街で着る服を作るブランドであり、いくらそこに優れていても機能性や実用性が一番の売りではありません。

たとえば先日公開されたK.ITOの公式インスタグラムでの着用写真をご覧いただければ、服としての佇まい、人が着たときの美しさを、とても大切にしているのが伝わるのではないでしょうか。

プルオーバーもまた、スウェットともTシャツとも違う魅力を備えており、無視できません。

背中の中心で生地が接合されているのですが、

これは先述のカーディガンの一枚仕立ての胴の構造を採り入れているからこそ。
両脇に縫い目がない代わりに背面で接合されているといわけです。

デザインのためのデザインでなく、構造の結果としてのデザインがここにあります。

虚飾ではないから、古びない。品質が高いから、長く着られる。
当店の掲げる「ラグジュアリーとは異なる静謐な上質と、時間に耐えうる永続性」というコンセプトは、まさにK.ITOが体現してくれています。

オンラインストアはこちらです→
カーディガン ブラック×チャコール/ ブラウン×チャコール/ ロイヤルブルー×チャコール
プルオーバー ブラック×チャコールブラウン×チャコール


ジキル博士とハイド氏 ~ tilt The authentics/ 2 Face Capacity Vest

連日の蒸し暑さにも拘わらずたいへんご好評いただいたHOEDオーダー会も、無事閉幕となりました。

いつだって祭りの後は寂しいものですね。

今週末も三連休だと勘違いしてしまう程度に店主も疲れてはいますが、心地よい疲れは大歓迎です。

というわけで、本日からまた日常が戻ってきました。

今年の晩夏の暑さたるや尋常でなく、ほんとうに夏が終わるのか心配になるほど。
しかし今週末あたりからはそれもようやく落ち着き始めるようで、その報せを信じて秋の新作をどんどん紹介していくことにしましょう。


tilt The authentics初となるベストは、カットソーやシャツといった薄手の服の上に重ねたり、秋冬の外套の下に挿んだりと、これから何かと重宝しそうな一枚です。

コットンとウールにセーブルの毛を混ぜて織り上げたシャークスキンは、それほど分厚くはなくとも適度な防寒性を発揮します。

実はこのベスト、もともとtiltデザイナーの中津さんが出張など移動時に極力荷物を減らすべく試作・試用していたものがベースとなっていまして、その発想は両脇や背中のポケットにしっかりと反映されています。

これだけの収納力を備えながらもいわゆるワークベスト然とならず、着用時に美麗なシャープネスを見せてくるのがtiltの恐ろしいところ。
武骨さなど欠片も感じさせません。

さらにこのベストはリバーシブル仕様でして、

反対側はアルティメットピマコットンを用いたシャンブレーラチネが採用されています。

ラチネは細い芯糸に太い糸を絡ませ、さらに細い押さえ糸を反対方向に撚り合わせて安定させた糸を用いた生地で、仄かに不規則的な凹凸の浮き出た質感が特徴です。

こちらの面は前立てのボタンが見えず、またポケットも胸にひとつつくだけですので、シャークスキン側にくらべすっきりとした表情となっています。

やはり単体で見たときよりも実際に着ていただいたときにその真価がよく伝わる服ですから、気になる方は可能であればまず店頭にてお試しいただきたいところ。
これがほんとうにいままでベストを出してこなかったブランドの服なのか、とポジティブな驚きを得られるはずですよ。

オンラインストアはこちらです


HOEDオーダー会がはじまりました

本日、HOEDの帽子のオーダー会がスタートしました。

帽子のイベントは初めてですが、並べてみると新鮮でいいものですね。

もちろん新鮮さだけでなく、帽子自体も素晴らしいですよ。

イベントは18日まで3日にわたり開催します。

恥ずかしがり屋さんゆえなかなか顔や姿を撮らせてくれない匿名デザイナー氏とともに、皆様のお越しを心よりお待ちしております!


君が最後まで心から「ありがとう」叫んでたこと 知ってたよ ~ aligatos/ ウールソックス

6月の蒸し暑い時期であったにも拘わらず、登場するや否や多くのお客様から好評価を得て、爾来この短い期間に幾名ものリピーターを生みだしたaligatosの靴下。

和紙に化繊をブレンドし独特の穿き心地と高い耐久性を実現したこの素晴らしきペーパーソックスに関しては前回のブログをご参照いただくとしまして。

このたび、秋冬向けにウールを用いたタイプが届きました。

基本設計はいじりようのないほど高い完成度を誇りますから、とくに変更はありません。

2年の年月をかけて独自に開発された”3段階グラデーション編み”なる技法により、通常「足を靴下に合わせる」チューブソックスでありながら、「靴下が足に合わせてくれる」フィット感を堪能できます。

さらりとした乾いた穿き心地が持ち味だったペーパーソックスに対し、オーストラリア産の厳選されたメリノウール使用したこのモデルは、チクチク感のない柔らかな穿き心地を実現しています。

ウールには防縮加工が施されているため、家庭での洗濯も可能です。
保温性、ドライ性、抗菌防臭性といったウールの特性と、化学繊維ならではの耐久性、形状安定性がお互いの短所を補い、長所を引き立てています。

爪先への違和感を極力排除したフラットな仕上げゆえ、ちょっと判りにくいのですが

下の画像で向かって左(フォレストグリーン)が上面、右(スカイブルー)が底面にあたります。

暖かくはあっても極端な暑さ(そして厚さも)はありませんので、真冬に限らず秋口から活躍してくれるはずです。

先述の通りウールは肌触りをドライに保ち、また抗菌防臭性を備えているため、意外と高温多湿の時期でも対応します。
さすがに最近のように30度超えの日には気分的に抵抗もあるでしょうが、涼しさを感じはじめるころからはフル稼働が見込めますよ。

色展開がたいへん豊富ですから、実際に穿ける時期に向けて、まずはお好みのものを探してみてください。

オンラインストアはこちらです


ポスト・クラシカル ~ mando/ ポリエステルツイルジャケット&パンツ

ずっと受け継がれてきた伝統的なスタイルにはその佳さがあり、革新的な先端技術にはその佳さがあります。

それらは水と油のようでいて、実は決して反目するものではありません。
両者を美しく結びつけるのが、デザインの力です。

当店が今季から取り扱いを開始したmando。
店頭で意外なほど多くいただく声が、「実はすでにここの服を持っています」でした。
そしてそういった既知のお客様のほとんどがmandoの代名詞的存在として認識しているもの、それがポリエルテル素材のジャケットおよびパンツです。




ポリエステルのセットアップ、と聞くと、一時期大いに持て囃された機能系素材を駆使したものを彷彿するかも知れません。
ストレッチが効いた生地ならではのぴたっとしたスリムなシルエット、海外出張のときに活躍する隠しポケット、ウールに較べ抑えられた価格などなど、多くの方はそういったアーバンギア的なものを聯想することでしょう。

しかし、このジャケットとパンツは一味も二味も違います。
たしかにポリエステルならではの気軽さはあれど、本質はそこにあらず。
「実用性」「機能」「コスパ」などを追求した実利的なものではなく、あくまで大人のファッションとして作られた、色香漂う服です。

まずはジャケットから見ていきましょう。

使用されているポリエステルツイルは、化繊特有の軽い艶がなく、ぱっと見た印象だけでは洗いをかけたウールサージのような佇まい。
製品の段階で高圧染色を施すことで、奥行きのある質感としっとりした肌触り、とろみのある柔らかさが生まれています。

ジャケット自体は肩パッドなどが省略された軽快なつくりで、やや肩を落としたゆったりめのシルエットと相まって実に軽妙洒脱です。
別物ですが、90年代初頭のいわゆるアンコンジャケットを彷彿します。

ラペルのフラワーホールや袖口のボタンホールにあたる箇所に敢えて穴を設けず、ステッチに置き換えているところが何とも小粋ですね。

プロとして現役を続ける長年のキャリア、クラシックな重衣料の構造を知り尽くしているバックボーンがあるからこそ、「本格」の呪縛からするりと抜けられるのでしょう。

裏地はキュプラで、表地同様に製品染めの結果程よい皴が生まれています。

続きまして、同素材のパンツを。
腰回りから太腿にかけてゆとりをもち、ゆるやかにテーパードのかかったセミワイドシルエットです。

左右それぞれ一枚の生地で立体的に包み込むような作りで、内股でのみ接合されているため、外側の縫い目が存在しません。

パンツもまたジャケットのように、一度重衣料をマスターしたうえで独自のフィルターを通し適度な簡略化がなされているのが、細部から見て取れます。

なお、裾はやや長めに設定され、アンフィニッシュで仕上げられています。

ですので、穿く前に適切なポジションで裾上げを行ってください。

セットアップとしてはもちろんのこと、上下どちらも単品で使いやすい形ではありますが、パンツはご覧の通りその機会も多いと考え、2色ご用意しました。
ダークネイビー、チョコレートブラウン、どちらも秋冬の装いに使い勝手の良い色目です。

シルエットの佳さや作りの丁寧さは言うまでもなく、着心地もまた素晴らしいのがmandoの服です。
このブランドをすでにご存じの方はもちろん、そうでなくともこれからトライしてみようかなとお考えの方は、是非一度店頭にてお試しを。

オンラインストアはこちらです→
ポリエステルツイルダブルブレステッドジャケット ダークネイビー
ポリエステルツイルサイドシームレスセミワイドパンツ ダークネイビー/ チョコレートブラウン


愛をこめて花束を ~ METHO/ Bouquet of sailors

method[méθəd]
1. (論理的で組織立った)方法、方式、(一定の)順序、筋道
2. 規則秩序、規則正しさ、きちょうめん

メソッド、とカタカナで表記しても伝わるほど我々の日常にも馴染みのある言葉です。

そんなMethodを由来とする銘を冠した新進ブランドが、当店に初のお目見えとなりました。
その名は、METHO(メソ)。

…?
dがありませんね。

これはもちろんうっかりミスでなく、
「すべては途中。あらゆる解決策、方法を得るまでの過程に本質的な学びがある。」
というデザイナー緒方氏の姿勢、信念が反映されています。

METHOの服の特徴は、まさにブランド名に表れているように「完成されていない」こと。
もちろんデザインや作りが未熟という意味ではありません。
どこかに不思議な「抜け」や「隙」「不安定さ」、そうした一種の余白が設けられていて、そこへ着る人のパーソナリティが噛み合い、初めて完成します。

今回ご紹介するシャツおよびシャツドレスは、初回に相応しく、METHOの定番的な型であり、ブランドらしさを堪能できる傑作です。
さっそくご覧ください。

まずはシャツ、


セーラー襟と胸元のリボン結びが何とも可愛らしい一枚です。

加工を施すことで柔らかくしなやかな風合いを引き出した薄手の刷毛目織生地で仕立てられています。

一般的なセーラーシャツはプルオーバーですが、こちらは前が開く仕様で、袖口はスリットが入っており折り返して丈を調節可能です。

たっぷりしたサイジングもあって、着る人の体型をそこまで選ばず、幅広いタイプの方にお召しいただけます。

このシャツをドレスタイプのワンピースにアレンジしたモデルがこちら。



素材はどちらもコシの強い高密度コットンブロード。

ブラックは白いステッチで雰囲気を明るく軽快に、

逆にネイビーは同色のステッチで落ち着いた印象となっています。

腰の背面には共生地のバンドが通されており、これを引っ張ることでギャザーを作り出し、また全体のシルエットに変化をつけることができます。

と、似て非なるこの2モデルですが、明確な特徴を共にしています。

それがこのセーラー襟。

いや無論一目瞭然な話をしているのではありませんよ。

実はこの襟、2枚が重なった構造となっています。

この2枚を留めているボタンを外して

上に被さっているほうの襟を前身頃側にひっくり返し

胸元の紐でそれをぎゅっと絞ると…

まるでブーケのようなふっくらした意匠に。

“Bouquet of sailors”というこの服の名は、ここから来ているというわけです。

あしらい加減は当然着る人に委ねられていますし、またこのように胸元に華やぎを加えるどうかもまた着る人次第。

この自由さこそが、先述した「完成されていない」の意味であり、”METHOD”でなく”METHO”であることの意味であるとも言えます。

オンラインストアはこちらです→
Bouquet of sailors ブルーウィスタリア
Bouquet of sailors ブラック/ ミッドネイビー