ものものしい桜が散った。
だだっぴろく……うんと手足を空に延ばした春の桜が、しゃんら、しゃらしゃらとどこかへ飛んで行ってしまった。
空がからっと一たん明るくなった。
しんとした淋しさだ。
だが、すこし我慢してじっと、その空を仰いでいた。
じわじわと、どこの端からかその空がうるんみ始めましたよ、その空が、そして、空じゅうそのうるみが拡がって。
その時、日本の五月の朝の中空には点々、点々、点々、点々。細長いかっちりした薄紫の鈴――桐の花です。お洒落でつつましやかで、おとなしくてお済しで、群っていても実は孤独で、おっとりしていてもなかなか怜悧で。しのびやかにしかもはればれと桐の花。
桐よりも、ずっと背が高いのにせんだんの気の小さいポチポチ花。
だが咲くだけ咲いてしまえば実に思い切りよく大ふうにさらさらと風にまかせて銀砂の様に私達の歩道に、その純白の粉花を一ぱいに敷きつめてくれる。
もう少し行って御らんなさい。
そら、大粒の赤玉、白玉のメノーを七宝の青い葉茎がくっきりうけとめている、チューリップ!
ルビーと紫水晶のかけらのスイートピー。
くじゃくの彩羽の紋所ばかり抜いて並べたパンジー。
毛唐国の花だとさげすみながら、人は何と争って五月の花壇の真中に何よりも大切にこの宝石の様な花たちを、栽培するようになった事よ。さて、その花達に夜の間宿った露、朝日が射せば香わしいほのかな靄となって私達のもすそをしめらす。
目をとめてよく見ると、半開きの白ばらの花のかげ――肥料をやりたての根本の赤土の上に生れたばかりの小さいひきがえるがよちよちしている。
お! 八百屋が、大きな玉菜とオレンジを運んで来た。勝手元の方へ知らせてやろう。岡本かの子『五月の朝の花』
「花の季節」と聞けば、ほとんどの人は反射的に春の盛り、3月や4月を想起することでしょう。
が、花は何も春の専売特許ではありません。
初夏の陽気の5月も、しとしと天気の6月も、真夏だって、いえ秋にも冬にも、そのときそのときの花が咲くものです。
ここに描かれている花の名を半分も答えられる人は、そんなに多くないのでは。
店主自身もまるでわかりません。
斯様に、世の中はきらきらした未知に溢れています。
この美しい生地は、リバティ社製のFloral Eve。
英国のボタニカルアート作家、レイチェル・ペダー・スミス(Rachel Pedder-Smith)の作品『植物標本画集(Herbarium Specimen)』の中から植物を抜き出し、再構成しています。
『植物標本画集(Herbarium Specimen)』は5メートルにも及ぶ大作で、現代のDNAに基づく分類システムに沿った順番で顕花植物を科名ごとに描き、完成まで766日を費やしたそうです。
なお、この作品、作家の公式サイトにてご覧いただけるだけでなく、描かれている植物それぞれの名をまとめたPDFファイルをダウンロードすることも可能となっています。
ご興味のある方はどうぞお試しを。
作品自体は近年のものながら、仄かに漂うクラシカルな匂い。
それを引き立てるよう、シャツも入念にデザインされました。
肩の位置を明確に定めず、着る人に合わせ、たとえば華奢な人は線の細さの魅力を、肉感豊かな方はその肉感を美しく引き立てます。
先を円くしたラウンドカラーの襟は旧いドレスシャツのような着脱式。

襟を外すとバンドカラーとなりまして、これはこれですっきりしていてよいものです。

先日ご紹介したMARINIÈRE BLOUSEと同じく、めくれたりよれたりすることを防ぐため、裾の端の裏側はしっかりとテープで補強されています。

ほんとうに丁寧につくられた服だなと、あらためて感心しますね。
生地厚は比較的薄手で、いまの時期はもちろんのこと、真夏まで使いやすいシャツです。
細部まで貫かれた美しさ、是非とも体感してみてください。
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