古代より神々の住まう諏訪の地から、横浜に戻ってきました。
本日から通常の営業を再開しております。
諏訪は初の来訪でしたが、新幹線を使わない出張ユーフォニカというのも初めてでした。
まずは横浜線で八王子へ向かい、狩人の歌で知られる「あずさ」に乗って、春まだ浅い信濃路へ。私はあなたから旅立ちます。

「あずさ」は全席指定ながら、指定席が取れなくともいちおうは乗車可能です。
しかしこの、座席未指定なる謎システムには面喰らいました。

指定席と同額の切符ながら、基本的には席が確保されません。
ただし、席の乗客が降りたり、乗る前ならそこに座れる、という複雑怪奇な仕組みなんですね。
おまけにその可否は席の上のランプで判別するのですが、「緑」が「座れない」、「赤」が「座れる」という意味で、習慣に糊着したこちらの感覚を揺さぶってきます。
そんなわけで、立ったままゴトゴトと山間部を進むこと1時間半、上諏訪の駅に到着です。

ここで東京から諏訪に移住した旧友と合流し、会場設営までの時間を使って諏訪のお薦めポイントを案内してもらいました。
まずは地元の名店にて、採れたての野菜の天麩羅に信州蕎麦、そして地酒で景気づけをば。

高台(諏訪自体が標高760mではありますが、さらに)にのぼり、諏訪湖を一望。

湖畔に降りれば菱の実が大量に打ち上げられていて、拾ってみると、いわゆる撒き菱の凶悪さがよく理解できます。

裸足や草鞋の時代にこんなのを踏んだ日には、泣くしかないでしょう。
その後古書店などを巡り、諏訪大社上社の摂社である八剱神社にて神様にご挨拶を。

4本の御柱が立つのは諏訪大社だけではなく、ここでもほかのお社でも同様だそうです。

さて、そうしているうちに設営の時間になり、いよいよポータリーへ。

表にはイベントの告知が貼ってありました。ありがたやありがたや。

昭和初期に建てられた廃屋をリノベーションした施設であるポータリーは、出張ユーフォニカ名古屋篇でお世話になった覚王山アパート(残念ながらつい先日営業終了してしまいました)にも通じる趣が感じられます。

いろいろと案内してくれた旧友とは会場で開梱しながらお別れし、ひとり仕事モードに入ります。
6回目ともなれば慣れてもくるもので、商品の陳列やWi-Fiの接続等を済ませ、準備は万端です。
今回の会場は2階のレンタルスペース。
入口の廊下をまっすぐ進み、

H号室への階段を上ると

そこがユーフォニカ諏訪店(仮)となります。

設営していて気になったのは、階下から妙にいい匂いがすること。
その発信元は、麻婆豆腐専門店どんどんさんでした。
ご挨拶も兼ねてお邪魔し、話をしているうちにこの匂いにおなかが空いてしまい、少し早めの夕餉をいただくことにします。

山の国長野らしい、鹿肉ジビエの麻婆豆腐です。
麻婆豆腐自体の味付けの巧みさは言うまでもなく、鹿肉も最初の処理がしっかりしていて、臭みなどは全く感じられず、お肉の弾性に富んだ歯応えとどっしりした旨味にはただホホ笑むしかありません。
ここでしっかりと滋養をとって宿に向かい、明日へ備えます。
翌朝、少し早く目が覚めたので、諏訪の町を散策することにしました。
宿を出たところにひっそりとたたずんでいたドワーフが、「がんばれよ」と無言ながら語りかけてくるようです。

朝の諏訪湖畔は、昼よりさらにきりりとした冷たさ。
雪を被った日本アルプス(ここから見えるのが北なのか中央なのか南なのか判らないもので…)の山々の美しさには惚れ惚れしますね。

諏訪の町は、小ぢんまりとしたなかにも興をさかす建物が多く、歩いているだけで愉しいところです。




日本屈指の酒どころとしても知られる諏訪。

甲州街道沿いには5軒の造り酒屋「諏訪五蔵」が並び、朝から銘酒を堪能することができます。

さすがにイベント直前にひっかけるわけにはいかないので、唇を噛んで我慢しました。
駅前のスーパーマーケット・ツルヤで食料を買って、会場へと向かいます。

長野ローカルのスーパーであるこのツルヤ、とにかくオリジナル商品のクオリティやバリエーションが尋常ではありません。
まるでテーマパークのようで心躍ります。
諏訪に滞在した3日のなかで、6~7回ほど足を運んでしまいました。
さて、イベント開始です。

ちなみに、妙に緑っぽいのは、ポータリーが現在増築工事中で、その幕(という表現で合ってますかね)の色が反射しているためです。
言うまでもなく諏訪でもほぼまったくの無名の存在である当店です、さすがに大賑わいというわけにはいきませんが、友人知人の紹介を通して弊イベントを知った方や、以前から当店を気にしてくれていた方にもお越しいただき、うれしいひとときを過ごしました。
初日の営業を終えて、ポータリーの改築にも関わっているリビルディングセンター(リビセン)のお店へ行ってみることに。

お恥ずかしながら浅学につき存じ上げなかったのですが、全国からお客さんが集まる著名なお店で、夕方でも賑わっていました。
この日は疲れもあって早々に宿に戻り、2日目に備えることに。
しかし早寝のため早起きしてしまい、結局イベント開始までの時間を散歩で潰しました。
近くには復元された高島城がそびえ、往時を偲ばせます。

とはいえ築城された16世紀、城の周りは湖水と湿地に囲まれ、諏訪の湖上に浮いているように見えていたそうで、「諏訪の浮城」とも呼ばれていたとか。
その後干拓によって諏訪湖の水位が下がり、水城ではなくなってしまったようです。
このお城でもですが、諏訪は鳶が多く、あちこちで「ピ~ヒョロロ」と軽やかな鳴き声が聞こえてきます。

初日同様、晴天に恵まれた2日目。

諏訪の懸念は寒さや寒暖差だったのですが、結果としては両日通して一度もエアコンを稼働させることなく、穏やかなぽかぽか陽気のなかでイベントを行うことができました。

そうして気がつくと会期終了。
往路の反省を活かして朝に帰りの「あずさ」の席を予約していたので、ささっと撤収します。
そして何事もなかったかのような会場を見て、ちょっとしんみり。

余韻に浸りながら、諏訪の地を後にしました。
面白いことに、今回ご来場いただいた方々は、判る範囲ではありますが全員県外からの移住者だったんですよね。
けれどそうして各地から移住したくなる気持ちも理解できる、素敵な土地です。
あらためて、ご来場いただいた皆様、そしてポータリーの皆さん、素敵な出会いを有難うございました!