12/2(火)は、12:00-17:00の短縮営業となります。
ご不便をおかけしますが、どうぞ宜しくお願い致します。
ここではないどこかのお話。
人里離れた雪深い場所に大きな一軒家がぽつんと佇んでいます。
とある夫婦がそこで営んでいるのは、ちょっと珍しい学校です。
夫婦は孤児を見つけては招き入れ、そこで彼らを愛情を込めて育てながら、基礎的な勉強のみならず、ソリの乗り方、トナカイの飼育、おもちゃの作り方や煙突の登り方などの「専門的な」教育も施しています。
そんなちょっと風変わりな学び舎で暮らし、カリキュラムを修得した生徒たちは、卒業後、一年で一番闇の長い夜に世界中の子どもたちに夢を与えるべく、冬の夜空を舞う仕事に就くのです。
その生徒たちがさまざまな場面で着ているコートが、このSeiyakou inverness coat。
礼服として、祭服として、そして仕事で使う実用服としても活用できる、マルチな一着です。
デザインのベースとなっているのは、いわゆるインヴァネスコート。

スコットランドのインヴァネス発祥と云われ、その特徴であるケープは、雨天などの過酷な気象でもバグパイプを守り、演奏するためのものだとか。

この機能性が、バグパイプ演奏時に限らず、冷たい雨や雪も想定される冬の夜空の移動にも活きるというわけです。
構造的には袖のないコートに袖つきのケープが重なったつくりになっており、

アームホールや身頃にゆとりを設けていますので、中に何枚も重ねて着込むことができます。
更に寒さが厳しいときは、前立てをすべて閉め、襟を立ててチンストラップを留めてください。

本体側の大きなパッチポケットはプレゼント収納用として設けられています。

なにせこの仕事、世界中の子どもたちが相手ですから、こうした収納スペースはいくらあってもいいでしょう。
ところで、プレゼントを配るときは、深夜に煙突から忍び込むことも多いため、あまりに繊細な生地だと作業着として役に立ちません。
そこでこのコートに用いられているのは、学生服用のウールポリエステル生地。
養成学校ならではのアイディアです。

この生地に特殊な墨コーティングを施し、洗いをかけています。
こうして一度墨を染み込ませているので、みな煙突のような環境でも灰汚れを気にしなくて済むわけですね。
さて、気がつけばもう今週末で11月が終わります。
聖なる夜も、そんな先の話ではなくなりました。
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いつの間にやら、師走の背中が見えていました。
店頭は冬物がほぼ出揃い、冬本番に備えて暖かな上着をお探しのお客様も増えてきています。
しかし物量が多く、ブログの執筆がなかなか追いつきません。
焦りながらキーボードに向かっております。
而して本日ご紹介しますのは、まさにこれからが本番、暖かなボイルドウールを使用したカーディガンと
フードつきコートです。
ボイルドウールはウールの生地を熱湯で煮たりアルカリ溶液(石鹸水など)と熱を加えて縮絨させた生地で、その防寒性の高さ、すぐれた耐久性から、寒冷なチロル地方で伝統的に用いられてきました。
これらに用いられているものはニットを縮絨させているため、フェルトのような見た目に反して伸縮性を備え、着心地がよいのも特長です。

カーディガンは背中に大きなプリーツを入れることで、肩甲骨の可動域を広げ、さらに動きやすくなりました。

機能性のみならず、外見上の意匠としても美しく、着ていて楽しくなる一枚です。
軽快なカーディガンと同素材でありながら、コートはしっかりとした重量感と防寒性を実現しています。
すなわち、このコートは(もともとフリーサイズ展開ではありますがそのうえで)かなり広い範囲の体型の方に対応してくれます。
背の高い方は袖をそのままに、小柄な方は折り返してしまえばいいというわけです。
カーディガン、コートともにナチュラルな雰囲気の素木ボタンを使用。

独特の平面的カットによる鋭角な印象をソフトに和らげる、Worker’s Nobilityならではのバランス感覚です。
天気予報によると、ことしは12月に寒さが加速的に強まっていく見込みだとか。
身も心も暖めてくれる服が必要ですね。
2020年から冬の定番として毎年展開し続けている名作セーターがあります。
それがcomm.arch.のHand Framed Mohair PO。

生後一歳未満のアンゴラ山羊から採取した稀少なキッドモヘアを使用し、ウールとアルパカを混ぜることで、ふわふわの軽くあたたかい質感を損ねることなく、適度な弾力性も加味されたセーターです。
着用時の可憐な美しさ、空気そのものを身に纏っているかのような軽さ、まったくチクチクしない優しい肌触り、そして気品あふれる色と、およそ求められるすべてを満たし、リピーターの方も少なくありません。
完全に女性用ですが、いやであるがゆえに、男性からも「これは自分も着たい、男性用の形で欲しい」とのお声もチラホラと。
実は弊ブログでのご紹介は2020年以来の2度目になるのですが、それはいつもご紹介を前に巣立ってしまうから。
というわけで、まだ全色お披露目できるうちにとキーボードを叩いています。
果実を思わせる瑞々しさと品の佳さを備えたヴィンテージワイン、


そしてこのシリーズではちょっと珍しい、シックなブラックアウト。


以上5色が、今年の提案です。
ハンガー掛けの状態だと少々わかりにくいのですが、体を通してみると全体に柔らかな円みが描かれ、長めの袖リブや前後に落差をつけた裾の仕様が、控えめながら確かにシルエットを引き締めます。

当店で女性用セーターの筆頭格として愛され続ける大傑作、まだ未体験の方は是非ともお試しを。
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ヴィンテージワイン/ キャロットオレンジ/ サックスミント/ アイスラベンダー/ ブラックアウト
さて、本日より通常営業に戻りました。
ここ数日ちょっといろいろありまして、普通の日常の有難さをあらためて認識させられているところです。
蓋し「普通」は「普通ではない」ものの対比に過ぎず、必ずしも「つまらない」とか「取るに足りない」を意味しません。
しかしその価値は「普通」ゆえになかなか気づけないものなのかも知れないですね。
それは何も人生論に限らず、靴にしても同様です。
Post Produtionの初期からの定番モデルNorm、その名の通りブランドの基準点を目指した、まさに「普通」たらんとする靴ですが、ずいぶんと久しぶりの入荷となりました。
久しぶりすぎて、木型も変わっています。
もともとは鋭角的な、エッジの立ったシルエットでしたが、2024SSからはMonk srtrapと同じPP11C木型を採用。

シルットはやや柔らかい円みを帯び、甲は高く、全体的に厚みが増しました。
ですので、足の比較的がっしりした人にお薦めです。
ソールの仕様も変わりました。
以前は歩行性を重視し前足部にハーフラバーが貼られていたところを、ラバーなしのレザーソールにすることですっきりとドレッシーに。

ソールの縫い目の出ないヒドゥンチャネルで仕上げられています。

こうしてひとつひとつ解説していると「普通」ではないようにも感じてしまいますが、しかし全体をとらえるとたしかに普遍性を備え、ブランドの基準点として相応しい靴と言えます。

ディテールの蘊蓄だけでは掴みきれないデザインの本質がここにありますね。
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早いもので、そろそろ手袋の季節になろうとしています。
当店で手袋といえばまず名が挙がるのが、handson gripでしょう。
ここしばらくはオールレザーのFam+のみをずっと提案してきましたが、昨今の暖冬やニーズの多様化もあり、もう少しライトなものが欲しいなんてお声もチラホラといただいていました。
そこで今年は、当店では初のお披露目となる2型を仕入れています。
まずはメリノウールのカットソーを使用したHobo。
薄手ながら手首までしっかりとカバーし、適度な保温性と調湿性、そしてウールならではの抗菌性を備えています。
単体でももちろんのこと、寒冷地でのインナーグローブとしても使用可能です。

タッチパネルをつかうときなどにも対応できるよう、親指と人差指の指先が出せる設計なのがうれしいですね。。

もう少し防風性が欲しい、という向きにはこちらのBreezyを。
ぱっと見シンプルなようですが、実はかなり複雑な構造をしていまして、まず表面の甲には掌には高い防風性を備えたストレッチナイロン素材、

掌には保温性、調湿性、抗菌性を備えたメリノウールのカットソー素材とハイブリッド構成になっており、くわえて掌の負荷の高い握り部分は牛革の補強で耐久性を高めています。

さらに、内部には保温性と透湿性に優れたポーラテック・アルファダイレクトを使用し、暖かさを確保しながらもオーバーヒートや発汗による蒸れを防ぎます。

こちらもタッチパネルなどに対応できるよう親指と人差指の先を開けることができますので、ある程度嵌めっぱなしでも問題ないのですが、

脱いだときも手首のループを用いてカラビナなどにまとめておくことができます。

「手袋って失くしちゃうんだよなー」とお嘆きの方は、是非この機能をご活用ください。
どちらもたいへん軽く、嵩張りにくい手袋ですから、日常から旅行まで、さまざまなシーンのお供としてさり気なく寄り添ってくれるはずですよ。
横浜も最低気温が10度を下回るようになり、往来を枯葉色に染めながら冬の気配が漂ってきました。
いよいよ、暖かい外套を提案してもよい頃合いでは。
今年も素敵なコートが各ブランドから続々と届いていますが、まずは真冬だけでなく11月からも活躍するであろうものからご紹介することにしましょう。
当店のレディースに於ける良識派MEYAMEから届いた、ダブルのミドル丈コートです。
ダークネイビーは、肌触りのよさとしっかりとした密度を備えたウール(に補強のナイロンを少し混ぜた)メルトン、

配色の美しいブラウンチェックはウール、ナイロンにアルパカを加えたとても軽く柔らかい生地と、

実は色柄によって生地自体が異なります。
どちらもそれぞれのはっきりとした特長があり、甲乙はつけ難いですね。
ともに保温力に優れた生地ですが、それに加えてしっかりとした裏地も設けられており、防寒性はバッチリです。

水牛の角を削り出したボタンなど、副資材にも手抜かりはありません。

もちろん魅力は素材のみに非ず。
ピーコートをデザインベースにしながらも重さや硬さ、そして「強さ」といった要素が取り除かれており、身に纏うとふわっとした軽やかな美しいボリューム感が生まれます。

円いカーブを描いてカットされた袖口は、シェフ用のユニフォームから着想。

もともとは調理用作業服ならではの袖を折り返しやすくするための実用的ディテールで、もちろんこのコートでもその機能は健在です。
小柄な方や袖のバランスを変えたいときなどは、是非ご活用ください。
また、そのままでも愛らしいデザインですので、折り返さずにお召しいただくのも佳いですね。
この折り返せる袖のつくりや、全体のふんわりした形状もあり、フリーサイズ展開ですがそこまで着る人を限定しないコートです。お気軽にお試しください。
本格的な冬の訪れが来る前に、少しずつ支度を進めていきましょう。