想い出はモノクローム ~ LUNGE/ Classic Walk S

当店に於ける不動の大定番スニーカーといえば、LUNGEのClassic Walkでしょう。

その地味なルックスから想像もできないほどの履き心地は、一度試せば何よりも体が忘れてくれません。

今回も気がつけばだいぶサイズ欠けを起こしていまして、このたびそれがようやく補充されました。

さて、大定番といえどさすがにいつも同じ型、同じ色では飽きてしまうもの(ただでさえ型数も色数も少ないブランドです)。

そこで、しっかりとLUNGEらしく、それでいてちょっと新鮮なパターンのものも仕入れてみました。

定番のグレーとブラック、それぞれのアッパーとソールを合体させた、グレー×ブラック配色です。

マイクロファイバーのアッパーは、耐久性に富み、硬化しづらく、通気性にも優れています。

“S(Stability)”タイプのミッドソールは、その名の通り安定性を重視した構造。

爪先から踵までしっかりと衝撃を吸収しながら足を支えつつ、土踏まず部分のみ切り替えられた硬い素材によって、内側の沈みをさらに軽減します。

このミッドソールと、足裏の形にぴったりとフィットし衝撃を吸収するFeetalityインソールが加わり、至福の歩行感を実現しています。

5km、10kmと歩く距離を伸ばすごとに、その違いがお判りいただけるはずです。

アウトソールには、OK Gummiwerk社製hexa4GRIPソール”High-GRIP”タイプを採用。

耐摩耗性とグリップ性に優れていますので、オンロードオフロード問わず対応してくれます。

暖かくなって、外に出て歩くのが気持ちいい頃合いになりました。

徹底的に歩くことにフォーカスして設計されたこのClassic Walkは、日々の散歩や旅行など、さまざまな場面で頼もしい相棒となってくれるはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
Classic Walk S グレー×ライトグレー/ ブラック×ブラック/ グレー×ブラック
Classic Walk W(レディース) グレー×ライトグレー/ ブラック×ブラック


君は天然色 ~ KAMARO’AN

アミ族をはじめとする台湾原住民族の文化と伝統的な手仕事を現代的なデザインに変換し、新たな価値を創造し続けているKAMARO’AN。

大好評のなか完売していたバッグが、再入荷しました。

Woven Lid Bagは、長財布やスマートフォン、こまごまとした小物を収納できる、小振りなショルダーバッグです。

Kopid(コピッド)と呼ばれるアミ族の万能道具入れ(ときにはお弁当箱として使われることも)をアレンジし、イタリアで鞣された上質なベジタブルタンドレザーで作られています。

同ブランドの代名詞的モデルとも呼べるWoven Triangle Bag 58。

特徴的な三角形の形状は、日本の植民地だった時代に米を運ぶのに使われていたあづま袋から着想されています。

肩掛けにも使える大きさで、外側片面には文庫本がちょうどすっぽり収まるポケットが設けられています。

これらの定番にくわえ、新色も登場。

先述のWoven Triangle Bagの小型版であるWoven Triangle Bag 36、その植物染めバージョンです。

カマロアンのバッグは、常に黒、茶、生成だけでつくられてきました。
それは、色を余計な要素として考えていたからではなく、合成染料では決して自然ほど美しく染めることはできないと感じていたのが理由だったそうです。

そこで、彼の地の伝統的な素材、技法を用いて、生成の生地でつくったTriangle Bagを製品染めしたのがこのシリーズ。

今回5色ご用意しましたが、材料は3種類でして、染め具合で色を変えています。

おだやかな薄い桃色と

彩度の低い薄紫色は

檳榔(ビンロウ)の実を使用。

カマロアンの職人のひとりであるソーマさん曰く、「ビンロウの実はアミ族にとって愛の色」なのだとか。

ビンロウの実は古くから噛みたばこのようにも使われており、店主は試したことはありませんが、キンマの葉と石灰とを合わせて噛むことで、軽い興奮・酩酊感が得られると聞いています。
この複雑な風味が、台湾では恋愛感情に結びつけられているそうです。

実は緑色なのですが、含まれるアルカロイドやポリフェノールがアルカリや酵素などと混ざることで化学反応を起こし、赤い色素が発生します。

あたたかみのある赤褐色と

夜明けの空のような複雑な色は

薯榔(ソメモノイモ)から抽出しました。

中が真っ赤な塊根を細かく切り、乾燥させたものを煮出して染色することで、この赤みの強い褐色が生まれます。

最後に、福木(フクギ)の樹皮から抽出した黄色。

フクギは、亜熱帯から熱帯にかけて分布する常緑植物で、東南アジアだけでなくインドや沖縄でも見ることができ、とくに沖縄ではメジャーな染色材料として知られています。

はじめはご覧の通りの鮮やかな黄色ですが、時間が経つにつれゆっくりと酸化して、秋の太陽の色のような黄金色に変わります。

どれも甲乙つけがたい美しさ。
便宜上「赤褐色」「黄色」などと表現しましたが、実際はもっと複雑な、奥行きのある色調です。

天然染料ですから、当然水濡れや摩擦などによって褪せていきますし、紫外線などその他の要因で風合いが変わることもあるでしょう。
けれどそれもまた魅力です。

そして、そこさえふまえておけば、決して極端にデリケートなものではありません。

イタリア製の革を使用しアミ族の伝統的な編み方でつくられたこのハンドルは、その構造ゆえしなやかな伸縮性を備えており、

これを横にずらすとキャンバスの持ち手にある2つの隠しボタンが現れます。

ですので、汚れが気になるときは、このハンドルを外して本体を水洗いすることも可能です(ゴシゴシと洗うと色が抜けてしまいますので、そこはご注意を)。

日に日に暖かさが増すにつれ、服だけでなく鞄などに関しても、気分が変わってきたのではないでしょうか。

温度や湿度の高い台湾ならではのセンスは、これから夏に向けてますます魅力を増していくはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
Woven Lid Bag ブラック/ チェスナット
Woven Triangle Bag 58 ブラック
Natural Dyed Triangle Bag ピンク/ パープル/ オーカーレッド/ ドーン/ イエロー


HOED 帽子オーダー会開催のおしらせ

昨年6月に開催したHOEDの即売×受注会。

お陰様でたいへんなご好評を賜ったのですが、実は棘のように反省点も残したイベントでして、大いに注目を集めたカンカン帽が、1サイズ限定の展開だったため、せっかくご希望いただいても被れないという方が続出してしまったのでした。

その教訓を活かし、約一年の準備期間を経て、再び受注会を開催します。

開催期間は4/27(日)~5/6(火・祝)です。

今回は即売品はなくすべて受注生産となりまして、納期を1か月半ほど頂戴します。

オーダーいただける帽子はこの2型。

BOATER HAT(カンカン帽)
税込 ¥24,200-

PANAMA HAT
税込 ¥29,700-

パナマハットはリボンの色もお選びいただけます(リボンの在庫が変動する可能性もあるため、具体的な色目は当日あらためてご確認ください)。

今回はカンカン帽、パナマハットともに3サイズ展開ですので、もう女性でも大柄な男性でもどんと来いです。

なお、HOEDデザイナー氏の在店日は5/45/6を予定しています。

ちなみに、カンカン帽のサイズ問題はデザイナー氏本人による木型作製という荒業で解決したのですが、これはつまり、お時間と費用さえいただければ木型からのオーダーも可能ということ。

ですので、もしこの3サイズにも収まらないということであれば、デザイナー氏在店日であれば木型からの対応も承ります。
その場合の具体的な納期や費用などは、店頭にて直接ご確認くださいませ。

オーダー会というとどうしても若干心理的ハードルが上がってしまうという方もいらっしゃるかも知れませんが、まずは店頭のサンプルをお試しのうえでご判断いただいてもまったく構いません。

来たる夏の装いをイメージしながら、カンカン、パナマともにお気軽にお試しください。


とても大事な キミの想いは 無駄にならない ~ comm. arch. / Poly Ramie Tropical Wool Pants

春らしい暖かさが続き、上着だけでなくパンツも軽くて涼しいものが心地好く感じられるようになってきました。

まだまだ朝晩は冷え込みますので、あまりに清涼感全開というのもちょっと寒いのですが、それでも秋冬のパンツはもう仕舞いこんでいい頃合いでしょう。

さて、当店でパンツの定番といえばいくつも名が挙がる中、ニットの主軸として絶大な存在感を発しているcomm.arch.のパンツの存在感が年々高まっています。

ニットと布帛のパンツ、まるでカテゴリの違うものながら、そこはcomm.arch.。
着心地のよさと主張を抑えた穏やかな美しさはこのブランドならではのものです。




細すぎず太すぎない、セミテーパードタイプのイージーパンツで、べたつかず乾きの早いポリエステル×ラミーのトロピカルで仕立てられています(品名にはWoolとありますが、トロピカルウール”調”の生地です)。

紐だけでなく背面側にゴムも仕込まれたお気楽パンツでありながら、腰の前面には1プリーツが入っており、生地の上品な質感もあって、トップスの裾でウェストの紐部分を隠せば通常のスラックスのようにも見えます。

ですので、あまり既定の厳しくない職場であれば、ビジネスウェアとしても使えそうです。

裏に至るまで丁寧につくられ、耐久性にも優れています。

洗濯にも強く、蒸し暑い日が続く時期でも躊躇なくお召しいただけます。

なお、サイズは2種類ご用意し、メンズのパンツではありますが小さい方の2は小柄な男性のみならず女性にもお薦めです。

バファリンよろしく半分は優しさでできているコムアーチ。
ニットだけでなく、パンツからもその優しさを感じてみてください。

オンラインストアはこちらです→
クラウドメランジ(ライトグレー)/ コールマインメランジ(ミッドグレー)/ ブラックネイビー


やさしく編んでいた おお 愛のしるし ~ rinoneca

2022年秋、YouTubeチャンネル『人脈開放宣言』にて、昭和53年生まれの中年男性3人による鼎談動画が全4回にわたって公開されました。

第1回【「衣」の必要性】

第2回【店主のトガりと職人の興味】

第3回【「愛」と「執念」】

第4回【若者が抱く疑問】

この真ん中でLOVEを語るオシャベリモヤシ野郎が当店店主なわけですが、

“LOVE MAN”の白い壁を挟んだその左側(つまり読者の皆様からすると向かって右)の白髪白髭の男性、こちらが手編みニット作家として活躍されている森兼徳さん。

この動画でも触れられているように、プロフェッショナルとしてアパレル業界に長く身を置き、それと並行してニットを素材としながらもファッションの域に収まらず活動の範囲を拡げているAMI MANです。

なかでもランプシェードは人気が高く、すでに独立したブランドDouble virtueを冠して活動していますが、

そんな森さんが2024年春夏、デザイナーとして新たに発足させたのが、リネン専業レーベルrinoneca(リノネカ)でした。

「2024年?今年は2025年だから、2年目からスタートしたの?」
いえいえ、当店も初年度から取り扱っていました。
しかし、店頭でのあまりの好評のため、ご紹介を前にたちまちすべて巣立ってしまったのです。

ですので、真夏向けの服も含め、今年は駆け足でフルラインナップをここで披露します。

まずは昨年のブランド発足時に誕生した、ヘンリーネックのプルオーバーを。



リネンのヘンリーネック、そう聞いてだいたい皆様がイメージされるものは薄くて軽くてちょっとざらっとした感じではないでしょうか。

しかし、おそらく何もかもが違います。

まず素材、ブルボン王朝期から続くフランスの名門紡績会社サフィラン社のフレンチリネンを原料とし、これを東大阪のエップヤーン有限会社の誇る特殊な技術「ゼロトルク撚糸」で糸にしています。
斜行せず型崩れに強い、きわめて強靭な糸です。

この糸を使用して、10オンスという通常では考えられないほど厚みをもって編み立てることで、型崩れしないだけでなく、強い弾性を備えた生地が生まれました。

この編地のブリンブリンと弾む独特の触感は、とても言葉や画像では伝えきれません。

お次は、こちらも去年からの継続品、半袖の開襟シャツです。



もちろんただの「上質なリネンシャツ」の枠には収まりません。

織りと編みを融合させた、ハイブリッドな逸品です。

まず、前身頃と袖の大部分は60番手のリネン糸を用いた平織の布帛で構成されています。

そして、背面と袖口は、サフィランのリネンを使ったゼロトルク糸で編み立てたニットです。

布帛と編地がこれほどまでに違和感なくスムースに、かつ大胆にコンビ使いされているシャツとは、驚くばかり。
ブランド発足時の展示会で初めて見たときはかなりの衝撃を受けました。

なお、編みの目が大きいこともあって繊細な印象を受けますが、家庭での手洗いが可能です。

続いて。いわゆるニットTシャツですね。



もうあらためて繰り返すまでもなく、皆様の想定の範囲内に収まるものではありません。

サフィランのリネンを使ったゼロトルク糸は上記の2品同様ですが、このプルオーバーの特殊性はその編地にあります。

撚糸された2/26番手の糸を、本来リネンでは編むのが不可能とされていた18ゲージの機械に入れて、驚くほど細かい目で編み立ててしまいました。

ゆえに、リネンのニットとしては類を見ないほど高密度で、分厚くはないのに豊かな肉感を備えています。

最後にご紹介するのはタンクトップ。



タンクトップですら予想を超えてくるrinoneca。

ノルマンディ地方産の一等級の亜麻を原料とした毛羽が立たず艶のあるリネン糸を使用し、一般的なタンクトップのように天竺やインターロックにするのではなく、ピケ組織に編み立てています。

もともと上品な風合いの糸をピケ編みすることで、まるで布帛のようななめらかな質感に仕上がりました。

薄手ではありますが意外と透けづらく、また頑強でよれにくい生地です。

耐久性が高くて通気性に優れ、リネン独自のさらさらした肌触りに吸湿速乾性を備えている、まさに蒸し暑い時期のインナーとして理想的ではありませんか。

さて、こうして矢継ぎ早に4型をご覧いただきましたが、最後に、リネンといえば気になるであろう縮みやゴワつきについて。

リネンは濡れることで強度が高まるため、そもそも洗濯にはめっぽう強い素材です。
しかし、どのモデルも、最初の洗濯では若干サイズが縮み、また独特の硬さが生じます。
リネンが苦手な人が気にする、あのチクチクしたような触感ですね。

しかし、それも最初のうちだけ。
3回目の洗濯あたりから、生地にとろみが生まれ、硬さは無くなってきます。

そして5回以上洗ったころには縮みも元に戻り、かつ使用者の体や動き方の癖にチューニングされ、ただただ快適な服へと仕上がっています。

あとはもう愉しむだけです。

もはや亜熱帯と化した日本列島の夏、リネンの特性はますます重宝します。
その特性が100%以上に引き出されたrinonecaの服は、きっと長年にわたって欠かせぬ相棒となってくれることでしょう。

オンラインストアはこちらです→
リネン100% 10オンスヘンリーネックプルオーバー ホワイト/ ブラック
リネンメッシュオープンカラーシャツ ホワイト/ ブラック
2/26サフィラン18ゲージニットプルオーバー マリーン/ ブラック
リネンピケタンクトップ ホワイト/ ブラック


耳をかすめるのは君の声か ~ METHO/ Single yoke shirt & Open collar flat shirt

春らしさが深まるにつれ、シャツをお探しの方が増えてきました。

もちろんいろいろなご要望にお応えできるだけのラインナップはすでに取り揃えておりまして、当店のシャツの定番のひとつとも呼べるMETHOのSingle yoke shirtも、今季の新提案をご覧いただけます。


旧いテーブルクロスを彷彿するような穏やかなオフホワイトと細い赤のチェックが、何とも春らしいですね。

まずはつくりからご説明しますと、通常は表裏2枚で挟み込む構造のヨークを生地1枚で形成する実験的構造で、

生地の端を始末する袋縫いが、控えめながらエッジの利いた陰影を生み出しています。

このヨークに見られるように、どこを見ても高度な技術をもつマーヤ縫製工場製ならではの美しい仕上がりです。

裾は生地の耳をそのまま活用。
黒いラインと細かい針孔の筋をそのまま残すことで、どことなくホロ苦さが加わり、全体の印象が引き締まりました。

さて、この生地を使用した新型も登場。


胸元の開きが深い大ぶりなイタリアンカラーがセーラーカラーのようも見える、METHOらしいバランスのシャツです。

全体的にたっぷりと生地を使ったオーバーサイズシルエットで、男女ともに着ることができます。

が、可愛らしいデザインにつき男性はややキャラクターを選ぶため、女性のほうが扱いやすいかも知れませんね(なお、Single yoke shitもユニセックスですがこちらは比較的メンズ寄り)。

裾の耳使いは先述のSingle yoke shirtと同様です。

軽やかさとユーモアのあるMETHOの服は、いつだって見る人着る人を愉しくさせてくれます。

こうも社会情勢が安定せず先行きが不安になってくると、服装もつい無難に無難にとなりがちですが、だからこそ服の力で気持ちから変えていきたいものですね。

オンラインストアこちらです→
Single yoke shirt レッドチェック
Open collar flat shirt レッドチェック


さらば荒野 ~ ALAYA/ Oversized Western Shirt

1月に初めてご紹介するや否や、たちまち注目を集めているALAYA。

実はその後シャツが届いていたのですが、清涼な生地だったので「もう少し暖かくなってからでもいいかな…」と考えているうち、あまりの好評に気がつくとラスト1点になってしまい、いま慌ててキーボードを叩いています。


ALAYAの代表作であるウェスタンシャツ。

前回ご紹介したウェスタンジャケット同様、MAGA MAGAしさのないクリーンなバランスに整えられたシャツで、日頃ウェスタンを着ない方でも、否、着ない方にこそお薦めできます。

まずはこの柔らかいリネンの生地、本場モノにはまず用いられないでしょう。

標準的なウェスタンシャツは細長い形状で、ウェストがシェイプしています。
ところがこのシャツは肩幅と身幅が大きく、着丈が短めに設定されており、かつ絞りのないボックスシルエットです。

こうしたアレンジが、独特の形の襟、ヨークやスナップボタンといった意匠から「文脈」を削ぎ落し、西部の男らしいマッチョさからウェスタンシャツを解放しました。

フリーサイズ展開ですが、対応範囲は広く、小柄な男性から比較的大柄な方までお召しいただけますし、さらに女性がゆったりとした感じで羽織っても可愛らしい印象になりますよ。

来月あたりからいよいよ蒸し暑さも増してくると思われますが、こうしたゆったりとしたリネンのシャツは高温多湿の季節には最適です。
最後の一枚ですし、気になる方は、どうぞいまのうちに。

オンラインストアはこちらです


南風にのせまして 貴方に届けたい ~ KLOKE

今季のEuphonicaは従来に比べレディースが異様なほど増えていまして、それは戦略的にというよりも単に佳いものが見つかりすぎたからなのですが、(戦略的でないのは店としてどうなのかという問題はさておき)それだけ質・量ともに充実したラインナップとなっております。

なかでも初のお披露目となるこのブランドには、単に新規展開という点以上に、いままで当店にありそうでなかった新鮮な風を感じます。

KLOKEは、公私ともにパートナーであるエイミー・ギャラガー氏とアダム・クームズ氏によって2011年にオーストラリアのメルボルンで設立されたブランドです。

ブランド名は”cloak(外套)”に由来する造語で、「覆う」「隠す」といったニュアンスが込められています。
また、Kという文字の鋭角的形状にもエレガンスを感じ、このスペルに至ったそうです。

オーストラリアのブランドというと、何となく先入観としては、明るく開放的、またはスポーティーで元気いっぱいのイメージを持つ方も少なくないかも知れません。

しかしこのKLOKEの服にはそうしたエネルギッシュなポップさはあまり感じられず、穏やかで知的な印象を受けます。

KLOKEのデザインの特徴は、この知性、そしてリアルな実用性です。

すべての服が丁寧に設計され、とても着心地の好いものばかり。
さらに、製品の品質も重要視し、どれも何シーズンにもわたる着用に耐えることができます。
これは単に服の耐久性が高いだけでは成し得ず、デザインの永続性あってこそです。

そんなKLOKEからは、さっそく多くの型が届いていますが、そのすべてを一挙に流すのも情報過多ですから、まず今季のコレクションの特徴的なディテールであるテーピングをあしらった服を3型ご紹介します。

まずはこちら、Regarder Bound Skirt。



ハリがあり、それでいて柔らかくしなやかな手触りを備えた上等なコットンの生地で仕立てられたミドル丈スカートです。

ウエストにフィットしながら裾に向かって広がる構造となっています。

見た目以上にたっぷりと生地を使用しており、パーツを立体的に組み合わせることでさらにふっくらとしたボリューム感を引き出しました。

アクセントとしても効いているテーピングは、このパーツの接合部です。

お次は何とも春らしい配色のベースボールシャツ、Ages Shirt。


Regarder Bound Skirtと同じ生地ですがより色の組み合わせを意識したデザインで、このカラーブロックもまた人体の構造に沿って組まれています。

女性の曲線的な体のラインを最大限に活かし、それでいて強調しすぎることない上品な匙加減のパターンが引かれ、着用時に美しい円みを帯びたシルエットを描き出します。

KLOKEはデザイナー自身がパターンナーでもあり、この立体的なパターンワークもまた大きな特徴のひとつです。

このシャツと同じ構造を採り入れたワンピースPatch Dressも見逃せません。


ブルーのグラデーションに白を挿しこんだ爽やかな配色は、真夏にぴったりですね。

こちらも円くふっくらとしたシルエット。

肌に密着しにくいパターンで、蒸し暑い日本の夏でも快適にお召しいただけます。

色気を抑えた禁欲的なデザインのようで、うなじのキーホール型のカットなど、随所に女性の体を美しく引き立てる工夫が仕掛けられています。

それぞれXXS~Sサイズと、ブランドのラインナップとしては小さめのサイズ展開で取り揃えました。
が、背の高い人の多いオーストラリアのブランドゆえ、我々日本人からすると、XXSでXS~S、XSでS~M、SでM~Lくらいのサイズ感です。

服というのはどれもそうなのですが、実際にお召しいただくとその美しさがより引き出されます。
可能であれば、是非とも店頭にてお試しください。

オンラインストアはこちらです→
Regarder Bound Skirt バーントオレンジ×エクリュ/ ブラウン×ライラック
Ages Shirt ペールピーチ
Patch Dress ブルー


もぎたてスペシャル ~ Post Production/ Tear Pumps

執念深い寒気もようやく観念したようで、日に日に暖かくなってきていますね。

当店はといえば春物はほぼすべて出揃い、店内はメンズ、レディースともに充実したラインナップが並んでいます。

春めいてくると俄かに気分が高まってくるのがスリップオンタイプの軽快な革靴。

当店でそこを担うのはもちろんPost Productionです。

だいぶ久しぶりに、同ブランドの代表モデルRe-luxが入荷していまして、

あらためてその完成度の高さに唸るばかりですが、この定番とあわせて届いたのが、Tear Pumpsの新色でした。

春に旬を迎える柑橘タンジェリン、その赤みの強い橙色が、どうしたって心弾ませます。

手袋にも用いられるほど柔らかくしなやかなエントレフィーノ種のラムスウェードの、官能的な質感。

中敷で覆われているため見た目では判りづらいのですが、硬い中底を用いず靴下のように足をソフトに包み込むボロネーゼ製法で作られています。

とにかく軽さと快適性を重視した製法で、蒸し暑い時期などは素足でも履きたくなります。
それほど気持ちの良い履き心地です。

薄いレザーソールは靴自体の屈曲性を損ねず、すぐに足に馴染んでくれることでしょう。

その一方で踵のトップリフトには滑りづらいラグタイプのラバーが採用され、耐久性や歩きやすさも考慮されています。

なお、いままで基本的にメンズ中心で展開してきたPost Producionですが、だんだんとユニセックス志向が強まってきていまして、今回このTear Pumpsも、メンズサイズのみならずレディースサイズをご用意できました。

とくにTear Pumpsはその華奢なデザインから、過去店頭では女性用と思って手に取られる方が多く、メンズサイズしかないことで女性のお客様をちょっとがっかりさせてしまったりしていましたので、これは朗報です。

春、そして夏にかけての一足として、是非この瑞々しさをご堪能ください。

オンラインストアはこちらです→
Tear Pumps Entrefino Lamb Suede, Tangerine
Re-lux Baby Calf, Black


君よ 気高くあれ ~ Worker’s Nobility

私たち労働者に必要なのは、
パンでも、バターでもなく、
美であり、詩である

シモーヌ・ヴェイユ

近年のAIの著しい進化は、まさに産業革命そのものです。

数字やデータを正しく処理し帰納的に解を導きだすことにかけては、もはや人間の及ぶところではなくなりつつあり、このままいくと多くの専門性をもった知的技能職がAIに取って代わられてしまいかねません。

かつてラッダイト運動が単なる破壊活動と見做され失敗に終わったように、いくらAIを否定し拒絶したところで、おそらくはもうこの流れを止めることはできないでしょう。

言うまでもなくAIは人の代わりに仕事をしても人の代わりに消費活動は行いませんから、場合によっては経済に甚大なる影響が出ることも考えられます。

となれば我々人間は、より意識的にAIでは代替できない仕事を模索していかねば。

たとえば、AIではなく人間だからこそできる、新しい価値の創造、そして(皮肉なことに18世紀の産業革命によって奪われたであろう)職人の手仕事の価値が一層高まるのではないかと予測しています。

ふりかえってみると、我々が幼いころのよくある未来予想図では、機械の発達が面倒な肉体労働から人類を解放し、人類は知的活動に専念できるという、古代ギリシアの奴隷制のようなイメージが描かれたものですが、そう単純な話でもなかったようですね。

といった次第で、いま働くことの意味、価値が、原点回帰的にシフトチェンジしはじめています。

そんななか、当店初登場となるブランドをご紹介しましょう。
その名もWorker’s Nobility(労働者の気高さ/尊さ)。

Worker’s Nobility は、スペインのナバラ州グエサラスの小さな村ムズキに拠点を置くインディーズブランドです。

デザイナーのZurineさんはスペインバスクで生まれ育った人で、アメリカのポートランドでの生活を経て、生まれ故郷に戻りこの活動を始めました。

大量生産を拒み、また在庫の蓄積を避けるため、主に民族衣装をつくる地元の工房で、注文を受けた数だけを生産しています。

服に付属するタグには、生産を担当した職人のイニシャル、つくられた日にち、生産に要した時間などが記され、「服は人の手が作るもの」という当たり前の事実を再認識させてくれます。

今回当店に届いたのは2型。

まずは直線的なカットが美しいシャツをご覧ください。


REGULAR SHIRTという名前ながら、「普通」なようで「普通」ではない形状…これこそがWorker’s Nobiltyのデザインの特徴です。

高い台襟に、フレンチシーム(袋縫い)で仕上げられたコンパクトな襟の組み合わせ、そして第一ボタンを外したときの開き具合は、上品な色気を放ちます。

まっすぐ一直線にカットされた裾に、カフスも剣ボロも省略された袖口。
平面的な裁断、ロックミシンによるステッチの表に出ない縫製は、たしかに簡素ではあるのですがこの服の目指す方向性に見事調和しています。

この鋭角的な冷たいデザインにペーパータッチの高密度素材があわさって生まれる凛とした緊張感、そこに素木のボタンを組み合わせることで、仄かな温もりが重なりました。

さてお次にご覧いただきますのは、先述のシャツと(色は違いますが)同素材をつかったジャケットです。


こちらもシャツ同様にステッチを極力表に出さぬよう設計されており、直線的なシルエットが着る人の余地を与えます。

BLAZERという品名ではあるものの、やや長めに設定された着丈と袖は、ごく軽快な春夏の羽織ものとしての要素を強めますね。
蒸し暑い日などは袖を捲ってもよさそうです。

素木ボタンは、使い込むとどんな風合いへ変わっていくのでしょうか。

老若男女を問わないデザインにつき、シャツ、ジャケットともに、男女サイズをご用意しました。

気軽で日常的に気兼ねなく使える、けれども決して「どうでもいい」とは思わせない、そんなつくり手のNobilityが、着る人ひとりひとりにきっと伝わるであろうと確信しています。

オンラインストアはこちらです→
REGULAR SHIRT オーカー
BLAZER コバルト