君よ、青春をゆけ きっと夏は終らない ~ K.ITO/ タイプライタークロス ラグランハーフスリーブシャツ

きょうに限ってはどうもオホーツク海高気圧の影響でとても過ごしやすい涼しさではありますが、べつに夏が終わったわけでもなんでもなく、そもそも公式に梅雨明けすらしていません。

振り返ってみても6月から蒸し暑い日がずいぶんと多く、店頭ではとにかく涼しい服を、とのお声が増すばかり。

そうしたご要望が多いこともあり、当店とItheで共同企画したタンクトップが、想定を遥かに超えるペースでどんどん店頭から巣立っています。
たいへん有難いことです。

すなわち、涼しいシャツ+タンクトップの組み合わせが、この蒸し暑さに対する最適解のひとつとして選ばれているのでしょう。

であるならば、いっそ羽織ものとしての性質を強めた半袖シャツを選ぶのも面白いと思いませんか?



「K.ITOといえばこれ」という方も増えてきました、ラグランスリーブシャツシリーズ。
半袖というより5分丈くらいに設定された袖丈で、タンクトップやTシャツの上に重ねやすいバランスです。

ラグランスリーブの仕立ては、シャツというよりもはや上着。

肩山にダーツを入れることで極端になで肩シルエットになることを防ぎながらも、リラックスした雰囲気と高い運動性を実現しています。
スマートな女性から筋肉質の男性まで、さまざまなタイプの体型に難なく合わせてくれる適応範囲の広さも魅力です。

背中の中心部には深いプリーツ。

とにかくAラインの嫌いなデザイナー井藤さんが好んで用いる仕様で、シルエットをストレートに保ちつつ肩甲骨の可動域を拡張し、のびやかな着心地を生み出しています。

全体的にゆとりのある立体的な構造ゆえ服自体の風の抜けがよく、さらに高密度に織られたコットンタイプライターが冷房の強い刺激を適度に軽減し、室内外の寒暖差に困りがちな都市部の真夏と好相性です。

人気モデルゆえご紹介を前にすでにサイズ欠けを起こしてしまっていますが、夏の即戦力として是非一度ご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ネイビー/ ブラック


NO VOTE, NO VOICE (4)

ご存知の通り、7/20は参院選(横浜ではこれに市長選も加わります)。

とはいえ、自分の一票なんかで何も変わらない、だれが当選したって一緒、だから選挙なんて行かないよ、そのようにお考えの方は多く、それも已む無しと理解できなくもない堕落した政治状況がずっと続いてきました。

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けれども、選挙は単なる多数決ゲームではなく、そして当選は無条件の全権委任を意味しません。

選ばれた議員がそれからの任期で何をしたか、だれのためにどう動いたか、絶えず監視しプレッシャーをかけ、ときに声を上げる、それこそが民主主義の担い手として我々個々の国民が選挙後にもすべき行動です。

しかしそこに至るプロセスとしての選挙はやはり重要で、責務ある社会の一員である以上、他人事として考えるべきではありません。
選挙に行けるのに行かない、でも社会や政治の現状に不満を抱えている、というのは妙な話です。

投票権自体、日本に住んでいるからといってだれもが持てるものでもないですし、せっかくの一票を無駄にしないよう、真剣に考えて行使しましょう。

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さて、もちろん弊ブログではどこの党やどの候補者に入れてくださいなんて野暮な呼びかけはしませんが、せっかく選挙について触れてみましたので、いったん俯瞰してみると、今回はあるトレンドがいつも以上に顕著です。

そのトレンドとは、ファシズム。

さまざまな事前調査をみると、ファシズムを打ち出す政党への民心の傾倒は明確に見て取れます。

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』によると、ファシズムの典型的な特徴は下記の通り。

1. 伝統崇拝
2. モダニズムの拒絶
3. 「行動のための行動」崇拝
4. 批判を受け入れない、意見の対立は裏切り行為
5.「差異の恐怖」を巧みに利用し増幅することによって合意をもとめ拡充する
6. 個人もしくは社会の欲求不満から発生
7. ナショナリズム、心因の根源に抱え込んだ陰謀の妄想
8. 「敵」の力を客観的に把握する能力の欠如
9. 平和主義を悪とする
10. 大衆エリート主義
11. 一人ひとりが英雄となるべく教育される
12. 女性蔑視、非画一的性習慣に対する偏狭な断罪
13. 質的ポピュリズム
14. 貧弱な語彙と平易な構文を基本に据えた「新言語」の使用

とりわけ、5、6、7、9、10、12、13、14は、いまや党勢を拡大するには不可欠の要素といっても過言ではありません。

とくにオレンジ色の政党は見事なまでにこれらの特徴をしっかりと満たしており、今回野党第一党になりそうなくらい急速に支持を拡大。

他党もその驚異的勢いは意識せざるを得ないようで、与野党問わず続々と外国人はじめマイノリティへの弾圧を「うちのほうが苛烈にやりますよ」とアピールしたり、あるいは誤認を狙ってか服やポスターなどにオレンジ色を多用したりと、投票日に向けていろいろな対抗手段を打ち始めています。

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「日本人ファースト」。
独逸学園があり、もちろんドイツ人以外にもさまざまな国から来た人が暮らす仲町台でさえ、このスローガンを駅前で見かけることがあります。

「“日本人(その定義は恣意的)”でない連中なんて二の次です」「日本に住んでいるからってだれもかれも平等には扱いません」というメッセージでもあるわけで、その“日本人”でない人たちがそれを見てどう感じるか、そこに思いが至っていないのか、それともわざとやっているのか。きっと後者だと思いますが。
何にしても、その文言に惹きつけられる“日本人”は日に日に増えています。

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1位「外国人」2位「減税」3位「消費税」 参院選・ネット投稿から浮かぶ争点とは(河北新報)

こちらのメディア調査によると、いまや参院選に於ける関心第1位が「外国人問題」。

もはやこの「外国人問題」という言葉が、フワッとした印象だけで独り歩きしており、おそらく何も実害を受けていない多くの人までが、世間のムードに染まって「ガイジンコワイ」「ガイジンは迷惑」と思い込むようになってきているようです。

われわれは、最上級のチョコレートはどこそこのチョコレートである、と百回も読んだときには、そういう噂を頻々と耳にしたような気がして、遂にはそれを固く信ずるようになるのだ。(中略)甲は不埒極まる破廉恥漢であって、乙は極めて誠実な人であるということが、同じ新聞にくりかえし述べられているのを見ると、われわれは、いうまでもなく、この二つの形容詞が逆に入れかわっているような、反対意見の他の新聞をしばしば読みさえしなければ、そのことを固く信ずるようになる。断言と反覆に対抗できるほど強力なものは、これまた断言と反覆あるのみである。

ギュスターヴ・ル・ボン『群衆心理』

刺激的でわかりやすく視聴者の歓心を得られるため、テレビやYouTubeなどにはゼノフォビアを煽るコンテンツが溢れています。
そうして「不逞ガイジン許すまじ」を何遍も目にしたり耳にしたりしているうちに、それがさも自身にまで危機の及ぶ事実として刷り込まれ、義憤が駆り立てられていくのでしょう。

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経済状況が悪化し、社会への不満が高まると、攻撃しやすく反撃されづらい「悪者」を探しスケープゴートとして糾弾してスカッとしたくなる、それが人間のサガなのかも知れません。

ここ20年を振り返ってみると、我が国では、生活保護受給者、公務員、高齢者、障害者、女性、そして外国人といったさまざまな属性が「あいつらズルしてる」「不当に得してる」と槍玉に挙げられてきました。

その結果、何がよくなったかといえば、何もよくなっていません。
むしろ状況は悪化しています。

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服屋、とくに当店のような生活必需品でない服を売っている店は、社会の経済状況やムードに大きく左右されます。
たとえば今年のお米の高騰なども、はっきりと影響が出るものです。

ここで必要なのは皆が豊かになることであり、「ズルしてるだれか」を(実際にズルしているかどうかの事実すら無視してまで)見定めて蹴落とし、相対的に「豊かでない」人を生み出すことではありません。

そして現状の生活がどうしたって豊かになれないのだとしたら、それは「ズルしてるだれか」でなく政治が原因です。

だからこそ、少なからぬ政治家やそれを志す人、団体は、自分たちの過ちに目が向かぬよう「ズルしてるだれか」を名指しして石を投げるよう仕向けているわけですね。

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日本は内心の自由が認められている国ですから、「自分の生活が豊かになったり皆が幸せになることより、気に入らないやつをギャフンと言わせたい」を最優先事項として考えるのも自由といえば自由です。

また程度の差はあれ多くの人がそのように考えているからこそ、差別主義者、排外主義者、国粋主義者の人気がどんどん上昇しているのでしょう。

いずれ – 場合によっては今回の参院選で圧倒的民意として示される形で – こうした価値観が多数派にとっての揺るぎない社会正義となるかも知れませんが、服屋としても個人としても、そうして憎悪や妬み僻み嫉みベースで社会を築くより、明るいムードのなかで多くの人が服やいろんなものを愉しめる世の中になったほうがいいのにな、とは思っています。


ザ・ホワイト・ストライプス ~ HAVERSACK/ リネンストライプワイドイージーパンツ

昨日までは暑いは暑いとはいえ、本来の時期からするとまだ早かったのでしょう、暑さとセットであるはずの蝉の声がまったく聞こえず、夏らしいような夏らしくないような、さながらポストアポカリプスの様相ではありました。
それがここにきて、緑道方面からじわじわと響きだしています。

気象庁は何をもったいぶっているのか、未だ梅雨明けの発表ならずですが、いやもうこれ明けてますよね。

今年の夏は長くなりそうです。

お洒落は我慢といっても限界があります。
ファッション業界はネクストトレンドとしてスキニーシルエットのパンツを打ち出そうとしていますが、20年前ならともかく、昨今の日本の夏でそんなピタピタに細いパンツを穿いていたら健康を損ないかねません。

よほどストイックなファッション求道者でなければ、この高温多湿の状況下で着るべきは、薄くて風の抜ける服でしょう。



美しいシルエット、そして軽やかな穿き心地で、不動の人気を誇るHAVRSACKのイージーパンツ。

型数も多く通年好評のシリーズではありますが、とくに暑い時期はその特徴である爽快な着心地が一層魅力的に感じられます。

今回ご紹介するパンツは、目にも体にも涼しいリネンのピンストライプ生地をたっぷりと用いたHAVERSACKらしいワイドテーパードシルエットで、スピンドルの入ったゴムシャーリング仕様の腰回りが快適性をさらに高めてくれます。

もちろん、ただ楽ちんで涼しいだけが特徴ではありません。

たとえば、深いプリーツとプリーツに重なる両玉縁ポケットの配置と丁寧な仕立て。

あらゆる服作りに一切の手抜きを許さぬHAVERSACKの姿勢が、こうした細部のディテールにも窺えます。

そして、これらの細やかなデザインの積み重ねがこのパンツの全体的な完成度を比類なきステージにまで高めているわけです。

老若男女問わずご堪能いただくべく、サイズはユニセックス展開でご用意しました。

嶮しい夏をともに乗り越える御伴として、是非ご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ グレーベージュ


GO NEARBY! ~ あなたの街のユーフォニカ(横浜篇)

昨年一月の大阪を皮切りに、仙台東かがわ名古屋富山諏訪、と、出張ユーフォニカは西へ北へと6ヶ所の土地を巡ってきました。

そしてこの夏、第7回目を開催します。

開催日時は下記の通りです。
7/26(土) 10:00-18:00
7/27(日) 10:00-18:00

今回はちょっと意外な場所でして、なんと横浜。

それも都筑区のお隣である青葉区の青果ミコト屋 micotoya houseさんが、このたびの会場となります。

〒227-0052
横浜市青葉区梅が丘7-8

(東急田園都市線藤が丘駅から徒歩約10分)

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ミコト屋さんは、自然栽培を中心とした美味しい野菜を取り扱う青果店です。

もともとは「旅する八百屋」としてバンで全国の農家を巡りながら野菜を仕入れ、宅配販売を行うという業態から始まり、2021年に現在の場所にmicotoya houseをオープンしました。

ここで、瑞々しい野菜や果物、全国各地から集められた調味料などが、厳選して並べられています。

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思い起こせば3月の諏訪。

当然のことながらかの地では横浜のことなどあまり知らない、行ったこともない、そんな方が大半なわけですが、それでも知り合った人やご来場いただいた方から口々に出たのが、ミコト屋の名でした。
「ミコト屋さんなら知ってます」「ミコト屋さんの近くですか」
まさにレペゼン横浜の名店です。

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食材の販売だけでなく、実際にそれらを使ったランチも提供、またアイスクリームブランド「KIKI NATURAL ICECREAM」も展開し、同じくmicotoya houseでいただくことができます。

畑で育てられた野菜や果物は、そのすべてが市場に出回るわけではありません。
規格外の大きさだったり、表面が傷んでいたり、大量に穫れて余ったりと、食べるのには全く支障がないのにコスト的な問題で廃棄せざるを得ないものがたくさん出てしまいます。

それらを有効に活用するため、いわゆるフードロス問題に対する試みから始まったのがこのアイスクリームなのですが、最大の特徴はエシカルかどうかでなく、その衝撃的な美味しさ。

ときにアイスクリームの材料としては想像もできないような食材まで、驚くべきセンスと技術で絶品に仕立ててしまいます。

今回のイベントでは、アイス製造を担当している花さん、まかないランチ番の未咲さんのお二人にスペシャルメニュー「花咲ランチ」をご用意いただけるということで、ますます楽しみです。
時期的にもきっと暑いでしょうから、食後にはアイスも是非どうぞ!

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もちろん、場所をお借りするからには、ミコト屋さんの魅力に頼りきりというわけにはいきません。

いつも通り「そこでしか見ることができない、そこでしか買えない」をテーマとし、メンズ・レディースともに選りすぐりの夏物や小物等をご用意します。
今回は地元ゆえ「横浜ではどこも扱っていない商品」とは言えませんが笑、当店別注品をはじめ、お取引さんにもご協力いただきながら極力稀少な品を厳選していくつもりです。

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イベントでのお支払いにつきましては、
クレジットカード(一括払い)
または
キャッシュレス決済(Paypay、メルペイ、d払い、au PAY)
のみの対応となります。

なお、出張店につき、プレゼント包装は承っておらず、お渡しも紙袋のみの簡易的な形とさせていただきます。何卒ご容赦ください。

また、イベント開催期間の7/26-27は、仲町台の店舗は休業となり、通販でご注文いただいたお品の出荷もお休みさせていただきます。
こちらもどうぞご了承願います。

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奇遇も奇遇なことに、ミコト屋を立ち上げた鈴木鉄平さんと山代徹さんは、当店店主と同じく神奈川県立荏田高校の出身、それも一学年違いでした。
在学中にはお互い面識はなかったのですが、巡り巡ってこうして一緒にイベントを行えることに、不思議なご縁を感じます。

ふだん仲町台にお越しいただいている方にはミコト屋さんをたっぷりと満喫していただき、そしてミコト屋さんのお客様方に当店の提案をお楽しみいただけたなら、何よりの幸せです。
皆様、当日はどうぞ宜しくお願いします!


二人の夏は ~ Ithe/ No.28-91-IO

当店に於けるTシャツの代表格といえば、ItheのNo.28-HTO。

イザTの愛称で親しまれているこのTシャツが生まれたのは、2019年のことです。

もとは当店店主とItheの共同で「自分たちが欲しい白T」というパーソナルな欲望そのままにデザインしたのですが、想像を遥かに超えるほどたいへん多くの方から共感をいただき、有難いことにいまもなお愛され続ける大定番品となりました。

7シーズン目を迎えてもどこも手直しを必要としない、日常使いのTシャツのファイナルアンサーであると自負してはいるものの、ただ近年の夏の猛暑のなかでインナーとして使うとなると、体感的にも視覚的にも少々涼しさに欠けるのは事実。

実際、店頭でもシャツの下に着るインナーを求めるお声は年々増してきています。

では、作ろうではありませんか。
皆様にとってのタンクトップのファイナルアンサーを。

それを実現するにあたりタッグを組むパートナーは、もちろんItheです。


No.28-HTOをベースにしながらも、あくまで下着として使いやすいタンクトップを目指しました。

素材は薄手の天竺素材を採用。

透けすぎないギリギリの薄さで、涼しく、また適度な伸縮性を備えています。

やや広めに開いたネック、アームホールは共生地バインダーで仕上げました。

ネックのバインダーは一般的なタンクトップよりやや広めに設定し、また、肩の部分を細すぎず広すぎずの幅で設定することで、見た目の肌着っぽさを軽減しています。

肌着感を抑制する仕掛けは裾にも。

縫い代の折り返しが通常よりだいぶ広めにとられ、裾のよれが軽減されるだけでなく、デザイン的な印象としても下着に見えづらくなりました。

着心地を損ね、また余計なコストとなるネックのネームラベルは排除、ブランドのロゴは洗濯表示タグにのみ印刷されています。

このタグの位置は低めに設定していますので、脇腹にチクチクと当たることはほぼないでしょう。

パックはコスト削減のためNo.28-HTOにも使われている者を流用しました。

先ほどからコストの話を出していますが、白い下着、しかも夏に使い、なおかつ見せられるものとして使うことを想定している以上、毎日ヘビーユースできて、買い換え・買い足ししやすいことは前提となります。
となると、あまりに高い価格にはできません。

デザイン、品質に一切の妥協なく、それでいて気軽に買える現実的な価格設定を実現するとなると、少しでも服の本質から離れた部分は削らざるを得なくなります。
そこは何卒ご理解ください。

ともあれ、Itheのお陰で、目指していたタンクトップ像のその先にまで到達できました。

それが今後にかけて夏の定番品として愛されるべきものかどうか、是非とも皆様にジャッジしていただきたいところです。

オンラインストアはこちらです


サンシャイン・ロマンス ~ EEL Products/ TAIYOU NO SHIRT

蒸し器の中に閉じ込められたようなジメジメムシムシが何日か続いたかと思ったら、きょうからしばらくは雨も降らない猛暑続きだそうで。

ひょっとすると今年の梅雨は始まって早々に終わるかも、なんて予測も立っているようです。

何にせよ、来週からはもう7月。
じきに本格的な夏が始まります。

近年の異様な暑さは夏に対する世間的なイメージをネガティブなものに変えてしまったようで、「夏」の一文字で、暑すぎ、長すぎ、苦しい、みたいなニュアンスまで内包しているとさえ思えてきます。

しかし、夏には夏の魅力があり、それは変わっていないはずです。

服にまつわる視点でいえば、夏だからこそ着たくなる服というのは確実に存在し、その服がともすれば辛苦にまみれた灼熱の季節を少しでも心軽やかにしてくれます。



EEL Productsの夏の新作TAIYOU NO SHIRTはそんな服。

名前の通り、太陽のよく似合うシャツです。

キュプラレーヨンのとろんとした生地は肌触りなめらかで、シャツ自体のたっぷりしたサイジングもあって、風通しのよい清涼な着心地を愉しめます。

発色の美しさ、配色の妙も特筆すべきレベルにあり、服としての体感的涼しさだけでなく、目にも軽やかな印象をもたらしてくれるのはご覧の通りです。

今年も酷暑がほぼ確定しているならば、せめて気分だけでも「夏も悪くないな」と思わせてくれるような服を選びたいですね。

オンラインストアはこちらです→ ブラック(×カーキ×オフホワイト)/ マルチ(水彩風)


光るとき ~ TOKIARI

天が下の萬の事には期あり
萬の事務には時あり

生るるに時あり 死るに時あり
植るに時あり 植たる者を抜に時あり

殺すに時あり 醫すに時あり
毀つに時あり 建るに時あり

泣に時あり 笑ふに時あり
悲むに時あり 躍るに時あり

石を擲つに時あり 石を斂むるに時あり
懐くに時あり 懐くことをせざるに時あり

得に時あり 失ふに時あり
保つに時あり 棄るに時あり

裂に時あり 縫に時あり
黙すに時あり 語るに時あり

愛しむに時あり 惡むに時あり
戦ふに時あり 和ぐに時あり

(傳道之書 3:1-8)

人の生は、自らの意思や力のみで思うままにコントロールすることなどできません。
ときに個人では如何ともし難い出来事が起きたり、あるいは予期せぬ幸福に巡りあったりするもの。

すべての営みは天の定めた時と重なり、その時の連なる流れの中で我々人の子らは喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、生きています。

それを詠ったのが、冒頭で引用した旧約聖書の詩です。

ここで繰り返される「時あり」の文言を銘とし、「時に在る衣服」を発信するのが、今回初めてご紹介するユニセックスブランドTOKIARI(時在)。

「こんな世界で私のできることといえば、ささやかな規模でも良い服をつくり、着る人の気持ちを鼓舞することだと思います。お客様がシャツに袖を通し、笑顔になってくれること。お互いの美学を分かち合い共感する瞬間。これが今の私の喜びであり力になっています。この幸せの時のために、私はつくり続けていたいと思うのです」

と、デザイナーの中村憲一さんは述べています。

中村さんはもともと盛岡で20年にわたりセレクトショップRiZM CLOSETを営まれていた方でした。
アントワープのJan-Jan Van Esscheや上海のZiggy Chenを日本で初めて紹介した敏腕バイヤーとしても知られています。

その経験とセンスをもとに生み出されるのは、近年のトレンドとは一線を画した、静謐で凛とした佇まいの服です。

これよりご覧いただくシャツ2型もまた、ともに虚飾を排したデザインながら、「ただシンプルでいい服」に落ち着くことなく、「これでなければ」と思わせる力を持っています。

まずは静けさと力強さを内包したレギュラーカラーシャツ、HIKARU。



多くの人がイメージするであろう「シャツ」の雛形とほぼそのままの姿のようで、いや何かが違う、ただならぬ雰囲気を帯びたシャツです。

しっとりとした質感の、肌理の細かいコットンブロードクロス、

艶やかな貝ボタンがそれに呼応します。

やや小ぶりに設定されたクリーンなレギュラーカラーに、

袖口を引き締める、カフスの鋭角的なカット。

シャツ全体をみるとゆったりとしつつもすっと縦に伸びたバランスで、禁欲的に身体を包みながら、その人の肉体性、パーソナリティまでもは否定しません。
この匙加減はTOKIARIならでは。

当店に於けるレギュラーカラーシャツの新たな基軸となり得るのではと、そんなポテンシャルを感じさせるシャツです。

お次は緊張と調和をテーマにデザインされたブザムシャツ、REI。


「礼」を聯想する名、胸元の襞から見て取れるように、フォーマルウェアを踏襲してはいますが、やはりそこには収まりません。

やや長めの着丈、そしてスクエアに切られた裾は張り詰めた緊張感を生み出し、

一方でスタンドカラーでなくノーカラーにすることでシャツ全体の印象をやわらかくくだいています。

均一な質感で光沢の強いハードマンズリネンも、着用を繰り返し洗いこむことで、しだいに穏やかな風合いへと変わっていくことでしょう。

とても上質で、且つ品の佳いシャツですが、敢えて夏の普段着として使い倒してみたいとも思わせるかすかな「隙」のようなものが感じられます。

この「隙」、言い換えれば「余地」がTOKIARIをTOKIARIたらしめます。

気位が高く、ソリッドで背筋が伸びる、それもまた正しき一面ではありますが、着る人を拒まぬやさしさが貫かれているのもTOKIARIの服です。

聞くところによると、なんと関東では当店が初の展開とのこと。
これを機にTOKIARIを知っていただき、皆様の人生の時のなかに新たな一匙の潤いを加えられたなら、それはとても幸せなことです。

オンラインストアはこちらです→
HIKARU ホワイト/ ブラック
REI ホワイト


夏が来る きっと夏は来る ~ mando/ キュプラレーヨン オープンカラーシャツ

連日の真夏日。

しかし6月でもあるためか、蝉がまったく鳴いておらず、その静けさと灼けつく暑さが奇妙な雰囲気を醸し出しています。

来週はまた梅雨空に戻るそうで、気温はともかくすっかり夏気分となるにはもう少々かかりそうですね。

しかし気がつけば6月も下旬です。
いますぐ着るかどうかは別にして、そろそろ本格的に夏服の支度をしてもいい頃合いになってきたのではないでしょうか。

通年とまで言わずとも長い期間使える服は当然重宝するもの。しかしやはり夏には夏ならではの服も着たくなります。



mandoの服の佳さをひとことで語るのは難しいのですが、柄物のセンスも大きな魅力であることに異論を唱える方はいらっしゃらないと思われます。

アイボリーベースに散りばめられた淡い色彩のスクエアドット。

そして柄の大きさも色彩も大胆なボタニカル柄。

どちらも、色数の多さ、そしてはっとするような色の組み合わせ、それなのにまったくガチャガチャしたうるささを感じさせません。
卓越した色彩感覚です。

てろっとしたキュプラレーヨンの生地は涼しくて肌触りが優しいだけでなく、家庭で洗濯可能なタフさも兼ね備えています。

着用時のシルエットの美しさは言うまでもなく、兎にも角にも軽妙洒脱の一言。
これだけの色香を放ちながら、作為的に「カッコつけてる」印象を与えないのには唸らされます。

真夏になれば、どうせ何を着たって、いや何も着なくたって暑いは暑いわけです。
せっかくなら、せめて気分の上向く服を選んでいきましょう。

オンラインストアはこちらです→ スクエアドット(アイボリー)/ リーフ(オフブラック)


夏に去りし君を想フ ~ THINKWOOL

先日弊ブログの一記事として公開した『薫香考』は想定を超える大きな反響を賜り、香害への関心の高まりを感じさせるものでした。

しかし当店のような零細商店では発信の届く範囲にも限りがありますし、今回の反応が世間の大多数の声と考えるのは尚早です。

一般的な感覚としては、相変わらず強い香りは好まれ求められているのでしょう。

この香りづけブーム、洗濯ものの生乾き臭や汗のにおいをケアするエチケットとして広まったところもあり、となると蒸し暑さが加速するこれからの時期はさらに需要が高まると予測されます。

ただ先日も書いたように、香りで臭いをカバーするのは根本的な解決にはならず、やはり臭いそのものを断たねばどうにもなりません。

しっかりと汚れを落とす、これがベストなのは言うまでもありませんが、もとからにおいづらい服を選ぶというのも手です。

そこで注目すべきがウール。
天然の抗菌性はにおいの原因である雑菌の繁殖を抑えてくれます。

さらにコットンの3倍以上の吸水放湿性をもち、汗をかいてもべたつかずさらさらした状態を維持。
熱伝導率が低いため夏でも快適で、実は梅雨~真夏にかけて最適な素材のひとつだったりします。

さて、昨年夏に登場し、大好評のなか完売したウールのTシャツが、THINKWOOLのTW FUSION TEE SSです。
今年ももちろん入荷しました。


リラックスウールと名付けられたTHIKWOOLオリジナルの編み生地は、メリノウールのやわらかな肌触りと抗菌性、それにポリエステルの耐摩耗性、強靭さを掛け合わせています。
また、ウール特有のチクチク感が苦手な方にも配慮され、肌当たりがとても柔らかいのもうれしいところ。

ウールというとケアがたいへんなイメージを持たれるかもしれませんが、家庭で洗濯可能です。
なお、ドライクリーニングでは水溶性である汗汚れは落ちませんので、むしろ水洗いをお薦めします。

機能性だけでなく、シルエットの美しさも特筆すべきポイントで、重力に従って生地が縦に落ち、美しいドレープを描きます。

このTシャツと並んでお薦めしたいのが、半袖のポロシャツ。


TW MESH POLO SHIRTS SSの名の通り、独自に開発されたウール×化繊のメッシュ生地で仕立てられています。

通気性のよさは言うまでもなく、それでいて着てみるとあまり透けは気になりません。

前立ては深めに設定されていますので、スナップボタンの留め具合で見た目だけでなく体感温度も調整できます。

こちらもご家庭で洗濯可能(先述のTシャツもですが、洗濯機内での損傷を防ぐためネットには入れてください)。

風通しのよい組織で、かつ薄手、そして素材の特性もあって室内干しでも乾くのが早く、旅行や出張の御伴としても活躍してくれることでしょう。

梅雨の盛りのはずが、暑さのギアが一段階上がり、お客様も郵便配達員さんも店のドアを開けるなり「暑い…」「暑い…」と悲鳴を上げています。
これからしばらくはこんな天気が続くようですし、こうした機能的なウールは一層活躍するはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
TW FUSION TEE SS/ TW MESH POLO SHIRTS SS